「ナカムラが俺の犬を食った」――スコットランド・プレミアリーグ、セルティックの中村俊輔選手に対するこうした「人種差的別発言」が蔓延しているようだ。インターネット上では、スタジアムでこの「差別的発言」が大きく書かれた横断幕を掲げたり、「ナカムラが俺の犬を食った」と大合唱するサポーターの動画がアップされ、大きな波紋を呼んでいる。
「日本人は犬を食べないぞ」といったコメントも
「ナカムラが俺の犬を食った」と歌う動画がYouTubeにもアップされた
「ナカムラが俺の犬を食った。ナカムラが俺の犬を食った。彼は俺の犬を薄切りにして、さいの目に切って、鍋に入れたんだぜ。ナカムラが俺の犬を食った」
こんな歌をスタジアムで大合唱するファンを映した動画が「YouTube(ユーチューブ)にアップされたのは2008年4月下旬のことだった。動画を見る限り、セルティックのライバルチーム・レンジャーズのサポーターが歌っていると見られ、この動画のほかにも、レンジャーズファンが「ナカムラが俺の犬を食った」と書いた巨大な横断幕をスタジアムで掲げる場面を映したテレビ番組の1コマも動画としてアップされている。
「ナカムラが俺の犬を食った」は、アジアの一部の地域で犬を食べる文化があることを指していると思われ、アジア人を中傷する言葉であることは明らかだ。
これらの動画のコメント欄には、
「日本人は犬を食べないぞ」「スコットランドは恥を知るべき」「人種差別主義者は何を考えているのか」「これだからフットボールはウザいんだ。最低な奴らが集まるからな」
といった批判の声が多く上がっている。
また、英大衆紙「ニュース・オブ・ザ・ワールド」は以下のように報じている。2008年4月16日に行われたセルティック対レンジャーズ戦で、レンジャーズのサポーターが、中村選手の写真と「ナカムラが俺の犬を食った」という言葉が書き込まれたTシャツを着用。警備に当たっていた警官がTシャツを脱ぐように注意した。しかし、これに従わなかったことから、Tシャツの没収と退場を命じた。
また2008年4月25日付の英テレグラフ紙でも、同じ試合でレンジャーズサポーターが掲げた「ナカムラが俺の犬を食った」という横断幕について、「誤った侮辱」として取り上げている。さらに英国のネット上の掲示板でも「人種差別だ」とする批判の声が08年5月になっても相次いでいる状況だ。