「波動を与えた水を飲むと病気やガンが治る」などという宣伝を信じて商品を購入した北海道や徳島の主婦ら6人が「だまされた」としてメーカーなどを相手取り、東京地裁に約1億円の損害賠償を求める訴えを起こした。訴えられたメーカーはJ-CASTニュースに対して、「病気やガンに効くなどとは一切言っていない」など反論した。
「理論についてなら100%いんちきでしょう」
波動水をつくる機器は20万~30万円もする
訴えられたのは福岡市に本社のある健康機器メーカーのバイオシーパルス。同社は7年前から「日本波動科学研究会」と提携し、水に振動を与える電気機器の販売を行ってきた。この機器は1台20万円から30万円。「波動測定器」は約60万円もする。人間には固有の正しい振動があり、水に振動を与えることで波動(信号)を生み出し、その波動が入った水を飲めば人間の振動が正常に戻り、健康に役立つ、という仕組みを謳っている。
同社が訴えられたのは2008年5月21日。新聞各紙の報道によれば、この水を飲むと「痛みが消える」「病気が治る」「子供の障害がなくなった」などとうその説明で機器を販売。中には5000万円もつぎ込んだ被害者もいて、被害総額は2億6千万円になるのだという。 この機器については、数年前から疑問の声が出ていて、「ヤフー知恵袋」や「教えてgoo」などのQ&Aサイトにも、
「波動水を作り病気の治療が出来る、と販売員は言っておりました。これって本当なのでしょうか?」
などの質問が寄せられ、
「理論についてなら100%いんちきでしょう」
などという回答が出ていた。
「オーバートーク、販売員にあった」
バイオシーパルスはJ-CASTニュースの取材に対し、なぜ自分達が訴えらなければならないのかわからない、と話した。同社によれば、訴えを起こした6人は一般消費者ではなく、同社にとっては「代理店」なのだそうだ。同社はいわゆるネットワーク販売をしていて、機器の購入者は「会員」になり、数多く購入したり、別の購入者を紹介すれば報酬が上がる仕組みだ。会員は現在1万4千人。
同社の担当者はJ-CASTニュースの取材に対しこう話した。
「水の波動で健康が維持できるという商品のため、製品の箱には『病気やガンが治るとかいうことは無い』というステッカーを貼り、販売員にも、病気の治癒を期待するお客様には売らないでくれ、と指導してきた」
という。そしてこう言い訳した。
「(病気が治るなどの)オーバートークが販売員にあったことは確認している。それを完全に無くせなかったのは当社のせい、と言われましても・・・」