動画サイトのランキングで、エロコメディのアニメが小学生で1位になり、話題になっている。全裸の少女が少年に抱きつく場面があるが、サイトの判断で年齢制限をかけなかった。性表現は子どもたちにどこまで開放されているのか。
「おじいちゃん、とうとうボク大人になっちゃいます」
ギャオで放送中のかのこん第1話のワンシーン
このアニメは、もともとはライトノベルだった「かのこん」。動画サイトでは、エロティック学園ラブコメディと紹介されている。田舎で祖父と2人で暮らしていた純朴な高校1年の小山田耕太が、転校した都会の高校で、学校一の美少女の源ちずるに告白される。そのちずるにある秘密があったことからドタバタの騒動になるストーリーだ。
原作のライトノベルも出版しているメディアファクトリーなどの「かのこん製作委員会」がアニメを制作。パソコンでは、2008年4月15日から、「ギャオ」「goo」などの18動画サイトに順次ネット配信されている。それに先立ち、4月5日からは、CS放送やケーブルテレビのアニメ専門チャンネル「AT-X」でも放送されている。
かのこんの動画を見ると、いくつかの場面で性的な表現が見られた。第1話「初めてしちゃう?」では、ちずるに迫られた耕太が、彼女の大きな胸の間に顔を押し付けられたり、めくれたスカートの中をのぞかされたりする。また、耕太は、ちずるから口づけされながら、「ほしくなっちゃった」と押し倒される。さらに、全裸になったちずるが、恥ずかしがる耕太に抱きつくシーンがあった。
5月13日配信の第5話「ダメになっちゃう?」でも、ちずるが耕太のズボンのベルトを外し、「ゆっくりと初めてを楽しもうね」「おじいちゃん、とうとうボク大人になっちゃいます」と会話するシーンがある。ただし、各話とも性行為の表現まではしていない。
R15指定もあり、メディアで対応が分かれる
動画サイトの一つ「ギャオ」では、世代などごとのランキング表示がある。その「小学生」では、男子、女子とも5月7日付でかのこんが1位になっていた。男子で、2位は「ヤッターマン」、3位は「RD 潜脳調査室」といずれもアニメだった。かのこんは、同13日付ランキングでは、男女とも2位になっている。
ギャオの10日付ランキングでは、ほかに性的表現がある美少女アニメ「くりいむレモン」が6位に入っていた。それを紹介した説明文には、「一部過激な表現が含まれますが、制作されたまま配信致します」と書かれている。
ギャオを運営しているIT企業のUSENでは、性的表現のあるかのこんを小学生でも見られるようにしたことについて、「内容を確認したところ、いくつかの内部規定には抵触しませんでした。そこで、特に、18歳未満は見られないR指定にはせず、誰でも見られるようにしました」と説明する。内部規定とは具体的に何なのかについては明らかにしなかった。
くりいむレモンを過激な表現を含んだままR指定にしなかったことについては、「配信元と話し合いのうえ、その意見を尊重しました」としている。
ほかの動画サイトでは、例えば、gooは、かのこんについて、年齢制限なしとしている。gooを運営しているNTTレゾナントでは、「配信元からR指定なしとされており、弊社の運用ポリシーでその基準に合っていると判断しました」と説明している。
ただし、CS放送のAT-Xでは、中学生以下は見られないR15指定の年齢視聴制限をかけており、各メディアで対応が分かれている。
かのこん製作委員会メンバーのメディアファクトリーでは、「ライトノベルには年齢制限はなく、だれでも書店で買えるようになっています。対象年齢を考えて作るのは、R18指定といった作品になります。作品は、多くの方に見ていただきたいという思いがあり、年齢制限については配信先で判断することになっています」と話している。