穀物価格の高騰が問題化するなか、コメの国際的な価格も急上昇が続いている。08年初頭から比べると、実に2.5倍というすさまじさだ。国内のコメ価格も上昇、特に、自由米市場での新潟コシヒカリの価格は2か月強で3割以上値上がりしている。原因は今一つはっきりしないが、コメを巡る情勢は不穏だ。
08年初頭から比べると、実に2.5倍
コメの値上がりは続くのか(写真はイメージ)
国際的なコメの価格の上昇が続いている。タイ貿易取引委員会が08年5月14日に発表した代表銘柄の1トン当たりの輸出価格は1054ドルで、過去最高値を更新した。前週の976ドルから急伸。
タイは世界最大のコメ輸出国で、コメの国際指標価格は、タイ米の輸出価格なのだが、08年初頭から比べると、実に2.5倍の水準だ。ミャンマーの稲作地帯がサイクロンで被災したことなどが影響したとみられている。これが思わぬ余波を呼んでいる。
日本政府は1993年のウルグアイ・ラウンド合意で、「ミニマム・アクセス」と呼ばれる毎年76.7万トン(玄米換算)を輸入する義務を負ったが、この国際価格が高騰しているため、落札が予定よりも進んでいない状態が続いている。入札価格を引きあげると、国際的なコメ価格に影響するのではないかという懸念からだ。若林農水相は5月13日の記者会見で
「そういう(コメ高騰という)異常な状態の中で、我が国は(入札するという)輸入機会を提供した」
と、規定の輸入量に達しないことについてはやむを得ないとの見方を示した。
国内のコメ価格も、上昇傾向を見せている。
コメの市況調査会社「米穀データバンク」が自由米相場を調査したところによると、2月28日には関東で60キロあたり16700円だった新潟産コシヒカリ(玄米)が5月7日には22600円まで上昇。実に約35%の値上がりだ。秋田産のあきたこまちも、13500円だったものが16700円と、約23%値上がりしている。