デジタル放送のテレビ番組をDVDなどに10回コピーできる新ルール、「ダビング10」の開始時期(2008年6月2日)が延期される、との報道が流れた。08年5月13日に開かれた検討委員会で、委員の間から開始の条件などに異議が出されたからだ。延期になれば「北京オリンピック商戦」に間に合わず、家電メーカーは打撃を受けることになりそうだ。
異議を唱えたのはメーカー側の委員
デジタルコピーの制限はどうなる?
「ダビング10」というのは、デジタル放送のテレビ番組をハードディスク内蔵レコーダーや、パソコンのハードディスクに録画した際、これまで1回だけDVDなどへのデジタルコピーが認められていたが、これを10回まで認めるという新ルール。総務省情報通信審議会の検討委員会で議論が交わされ、08年6月2日午前4時にスタートする予定となっている。
検討委員会に出席した関係者は、J-CASTニュースの取材に対し、メーカー、消費者、著作権の各委員の合意が取れ、08年5月13日の委員会で08年6月2日スタートが「正式に合意されると思っていた」とし、
「異議を唱えたのはメーカーの委員の方。ダビングするのに、著作権料を徴収するのには反対。ダビングを10回認識するシステムはどうするのか、といった内容でした」
と話した。
ダビングした際に生じるとされる、音楽などの著作権料金は正式に決まっていないが、メーカー側がハードディスクレコーダーの価格の1%~2%程度を負担(価格に上乗せ)などが検討されている。しかし、一部のメーカーは、「10回という制限を設けているのだから払う必要がない」などと反発。コピーを10回まで認めるシステムは、機器内にタイマーを埋め込む方法など様々なやり方があるが、中には他のメーカーに比べ負担増になるメーカーも出るのだという。そんなこんなで、どたん場に来てもまだ全会一致の合意に至らなかったわけだ。
デジタル放送推進協は「6月2日スタートに変わりありません」
社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は08年5月13日付けで、デジタル放送の普及を進めている社団法人デジタル放送推進協会(Dpa)に答申書を出した。内容は、「ダビング10」の運営開始日の決定は08年4月11日になるとしていたのに未だに連絡がなく、08年5月13日には確定してほしい、というものだ。同協会はJ-CASTニュースの取材に対し、
「未だにDpaからの返答はないが、早く開始の合意が得られなければ消費者へのPRを含め、色々と厳しくなってくる」
と話した。「Dpa」はJ-CASTニュースの取材に対し、
「一部の報道にある『延期』という議論は出ておらず、08年6月2日にスタートするという認識に変わりはありません」
と、あくまで計画通りに進めることを強調した。