右肩上がりで来た体質をもう一度見直し
金融を除く東証1部上場企業の08年3月期決算は5年連続の経常最高益を更新する見通しだ。その原動力になってきたのは、自動車や電機など輸出型の製造業といえる。少子高齢化などで国内市場が縮小する中、円安という追い風に乗り、消費旺盛な米国や経済発展が続く中国など新興国向けの販売増で補ってきたのが、輸出関連企業がこれまで好業績を上げてきた大きな背景だ。
しかし、頼みの米国市場はサブプライム問題から立ち直れず、景気後退懸念が高まっている。サブプライム問題に端を発した米国の景気低迷やドル安は、急激な円高や原油高、原材料高を招いており、輸出型の製造業にとって良好だった環境は、今や激変しようとしている。
トヨタの減益転落見通しは、日本企業が直面している厳しい経営環境の象徴だ。トヨタの渡辺捷昭社長は決算発表の会見で、「為替や原材料価格の影響を吸収できるかで、我々の真価が問われる。右肩上がりで来た体質をもう一度見直し、徹底的に無駄を排除する」と述べたが、日本企業全体が、まさに正念場を迎えているといえる。