中国の毒ギョーザ事件やチベット問題で、日本から中国への旅行者が激減しているが、こと北京オリンピックに関しては事情が違うようだ。大手旅行会社のツアーでは早くも完売するプランも出ていて、「前回のアテネを上回るのは確実」と関係者は話す。ツアー料金は3泊4日で40万円近いのが多い。それでもアテネの「三分の一」で、人気の一つの要因だそうだ。
「即日完売の可能性もあった」
国内旅行代理店大手のJTBと日本旅行によると、2008年4月から販売を開始した北京オリンピックツアーの売れ行きは好調で、JTBは全53コースのうち野球や体操などが観戦できる13コースが予約で埋まり、すでにキャンセル待ち状態。前回のアテネオリンピックをかなり上回る人気になっている。実は旅行業界、中国の冷凍ギョーザへの農薬混入事件や、チベット問題などが重なったことなどが響き、08年5月、6月の中国ツアーの予約人数が激減。6月には予約が前年比で6~7割下がった旅行会社も出た。日本旅行はJ-CASTニュースの取材に対し、ギョウザやチベット問題がなかった場合、
「オリンピックツアーは即日完売する可能性もあった」
と話した。それほど前人気が高かったようで、これからオリンピック代表選手が決まるに従い、ツアー申し込みがさらに増えていくだろうと予想している。
人気の背景をJTBでは、
「開催国との距離が近いこと。また、ツアー料金が『アテネに比べ割安』と感じているお客様もいると思います」
と話している。アテネ五輪のツアーが一人70万円台から90万円台だったのに対し、北京は20万円台後半からある。確かにアテネの三分の一の費用で、世界のトップアスリートの試合が見られるとすれば魅力だ。
ちなみに、JTBのツアーを見ると、08年8月8日成田発で「体操男女予選 4日間」が39万2000円~。同17日発の「卓球男女予選 4日間」が38万8000円になっている。
北京のホテルは通常の5倍から10倍の値段
ただし、この料金設定の差は宿泊日数の違い。アテネは7日間から10日間というツアーだったが、北京の場合は、4日間から5日間というのが中心だ。日本からの距離の違いが大きいようだ。
閑散期の北京「激安」ツアーならば、3泊4日で3万円台というのもたまに出る。
日本旅行によると五輪ツアーとの価格差は、ホテル代の違いが大きいという。北京のホテルはオリンピック開催時、通常の5倍から10倍の値段設定をしているのだそうだ。そのため、
「ツアーの値段は少し高いかな、というのが実情なんです」(日本旅行)
と旅行代理店も感じているというのだ。ただし、オリンピック開催地のホテルの宿泊料金が高騰してしまうのはどこも同じで、北京に限ったことではないということだった。