「一人で迎える老後」への不安 大ベストセラーを産む

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   「一人で迎える老後」をテーマにした書籍が、大ベストセラーになっている。「老後にいくら必要か」「死んだら遺体は誰が引き取ってくれるのか」――そんな疑問に答えた。独身女性が増えていることや、熟年離婚の増加といった背景から、「他人ごとではない」と感じた人が多かったようだ。

独身女性より強い、死別妻の「一人」に対する不安

話題になっている「おひとりさまの老後」
話題になっている「おひとりさまの老後」

   大ヒットした書籍「おひとりさまの老後」は2007年7月に発売され、08年4月現在の発行部数は75万部を突破した。一人で老後を迎える心得が明るいタッチで書かれていて、「今までにはない」とマスコミで取り上げられるなど発売当初から話題に。3カ月で19万部を販売し、その後も勢いは衰えていない。

   大型書店「リブロ」池袋本店の書籍売り場担当者は、「社会福祉学の分野では類を見ない売れ行きだ」と、驚いている。同店では、社会学、人文学、家庭医学の3つのカテゴリーに陳列していて、発売から半年以上経った今も中高年女性を中心に売れている。また、「将来わが身に起こるかもしれない」という思いから30~40歳代の女性や、男性も購入していて、読者層が幅広いのが特徴的だ。

   発行元は、社会保険や健康に関する書籍を半世紀以上にわたって発行する出版社、法研(東京都中央区)だ。

   企画・編集を担当した出版事業部部長の弘由美子氏は当初、独身女性に向けた書籍として企画していた。しかし、老人ホームなどで高齢者と話をするなかで、夫と死別した妻の方が一人で迎える最期への不安が強いことに注目し、読者の間口を広げた。

   著者の上野千鶴子氏は、社会学や女性学の分野の権威者だ。専門書を多く出版しているが、弘氏は「今回は一般読者に向けて、わかりやすい言葉で書いてもらった。ご自身も近く還暦を迎える立場として、同世代の女性の疑問に答えたこともリアル感がある」と話している。

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