動画共有サイト「ニコニコ動画」に最近アップされた「初音ミク」の歌が、ますます人間の歌声に近付き「神の領域に達した」と、ネットが騒然となっている。この動画をアップしたのは、産業技術総合研究所の研究者のようで、近々、その研究結果が発表されるらしい。ただし、あまりにも人間っぽい歌声だけに、「歌が上手いとミクの歌に聞こえない」という反応もネットには出ている。
新技術のせいで「まさか、人間だろ、これ……」
「人間のようで、ミクじゃない・・」という声も(ニコニコ動画より)
アップされたのは2008年04月28日で、動画のタイトルは、「【初音ミク】PROLOGUE 【ぼかりす】」。この動画の投稿者コメントを見ると、
「この調教結果を聞いてみて頂けますか?まだちょっと不自然なところがあるのですが、楽しんで頂ければ幸いです」
と、なにやら自慢げだ。ちなみに、この「調教」というのは、ボーカルアンドロイド「初音ミク」を上手く歌わせるためにプログラムを調整することを指す。音や言葉を、プログラム上の五線紙に打ち込み、ビブラートやブレス音なども表現でき、調整の上手い作品は「神調教」などと賛辞される。
実際に歌を聞いてみると、これまで聞いた様々な「ミク」よりも、確かに人間が歌っているっぽく聞こえる。「ニコ動」のコメント欄には、
「うそだ!!!!!」
「神を超えた調教」
「まさか、人間だろ、これ……」
などといった驚きのカキコミが並んだ。
どうやらこの「神調教」は、動画のタイトルにある「ぼかりす」という新技術を使っているようなのだ。J-CASTニュースが産業技術総合研究所に取材すると、同社研究所広報は、この技術は「VocaListener」というのが正式名称で、この動画はこの技術を開発した研究者の手によってアップされたものだと説明した。どんな新技術かについては、
「5月下旬に行われる『音楽情報科学研究会』で発表する予定ですので話をすることはできない」
ということだった。
コメント欄には、「ミクの声じゃない」などの否定コメント
同研究会の進行プログラムにはこの技術について、
「ユーザ歌唱を真似る歌声合成パラメータを自動推定するシステムの提案」
としか書かれておらず、何なのかさっぱりわからない。ネット上ではこの新技術がどんなものかという推測がされていて、例えば、「ミク」を「調教」する際に、自動的にベストな歌に仕上げてくれる「便利アイテム」ではないか、というものや、
「人間が前もって歌った歌を元に、『ミク』の各種パラメータを自動的に調整。『ミク』に歌わせることができるのだろう」
というものも出ている。
どちらにしても、「ミク」の「調教」が楽になり、しかも、いっそう人間に近い歌声になるのだとすれば、ファン達にとって嬉しい事だと思うのだが、ネットの反応は複雑だ。「ニコ動」のコメント欄には、08年5月2日に「ミクの声じゃない」などの否定のコメントが増え始めた。「2ちゃんねる」にもスレッドが立っていて、
「確かに人間っぽさが出てたけど、それってボーカロイドの良さをスポイルする一面があるし。アニメ美少女が見れると思ったら三次女だった、みたいな」
「無駄な技術だな。人間らしくを追求するなら実際に人間に歌わす。機械的無個性だからこそ初音ミクがウケたんだろ」
などの意見が出ている。ファン心理というのは複雑だ。