高尾山(東京都八王子市)登山が今ブームになっている。都心から1時間程度で到着できる「手軽さ」。それに、ミシュランの旅行ガイドで最高ランクの「3つ星」を獲得したことが大きく影響したとみられ、若いカップル、外国人の観光客の姿も目立つようになった。2007年は年間を通じてお客が増えた、という。
富士山や日光、京都と同じ最高の「3つ星」にランク
「高尾山ブーム」に火をつけた「ミュシュラン」旅行ガイド
高尾山の玄関口となる京王電鉄の「高尾山口駅」の2007年度の利用客数が前年度比約12%増の110万人に達した。07年のゴールデンウィークの利用客も9万6000人に達し、06年の8万8000人から大幅に増えている。
京王電鉄の広報担当者は「ミシュラン効果があったと思っている」といい、ミシュランの旅行ガイドで、富士山と同じ最高ランクの「3つ星」を獲得したことが大きく影響したとみられる。高尾山のケーブルカーや二人乗り観光リフトを運営する高尾登山鉄道でも「07年は年間を通じて利用客が増えた」と話している。08年のゴールデンウィークはいわゆる「飛び石」の休日が多く、例年に比べて連休が少ないが、07年と同程度の客数が見込まれるという。
ミシュランは07年4月に日本についての旅行ガイド「MICHELIN Voyger Pratique Japon(ミシュラン ボワヤージュ プラティック ジャポン)」を発売した。高尾山は東京都心からのアクセスの良さや自然の豊かさが評価され、富士山や日光、京都と同じ最高の「3つ星」にランクされた。フランス語で書かれた書籍であるにもかかわらず、「ブーム」に火をつける絶大な効果を発揮した。
若いカップル、外国人の観光客が大きく増えた
「観光客が増えているのは、1つは高尾山の観光地としての魅力。それと今回『ミシュラン』で3つ星を頂いたことで、多くのメディアや口チコミで情報の発信が飛躍的に増えたことです」
とJ-CASTニュースに話すのは八王子市観光課。同課によれば、これまで高尾山のハイキングには中高年の客が多かったが、「ミシュラン」に紹介されることで、カップルなどの若者客、外国人の観光客が大きく増えたという。
しかし、こうした「高尾山ブーム」で観光客が増えたことで、問題も浮上してきている。
市の関係者は「『ミュシュラン』と結び付けたくないが、ペットボトルのゴミや、写真撮影をするために登山道を外れて植物を痛めつける客も増えてきている」と明かす。
さらに、07年の遭難事故は43件に上り、例年の倍近くに増えた。市観光課は「サンダルで来られる方もいるが、山は山である、ということを認識して、ムリをしない欲しい」としており、07年からホームページなどで登山のルールを守るよう呼びかけている。