強い酸性物質を使って指紋を溶かす手口もある
容疑者は米国籍を持っていないが、米国ビザを持ってはいた。ただ、過去に麻薬関連での服役歴があるため、身元が割れて国外退去処分になるのを恐れての手術だったとみられる。指の皮膚を縫い合わせる以外にも、強い酸性物質を使って指紋を溶かす手口も明らかになっている。
なお、このような「指紋消し」は逆効果だと警察側は主張しており、
「(行われた場合)警察官は、さらに深く取り調べを行うことになるだろう」
と鼻息が荒い。
日本で行われた指紋除去手術で記憶に新しいのが、一連のオウム真理教事件だ。教団「建設相」の早川紀代秀被告、刺殺された故村井秀夫氏など、少なくとも4人が手術を受けている(「指紋切除は日常茶飯事」とする当時の報道も確認できる)。公証役場事務長の事務長を拉致・監禁したとされる信者の手術の様子が、比較的詳細に報じられている。
この信者は、1995年3月中旬に、指表面の皮膚を削り取る手術を受けた。逃亡の末5月18日に逮捕されたが、手術から2か月経っているにもかかわらず
「まだ治り切ってないので痛い」
と、指紋採取を拒んだ。さらにこの信者は公判の場で
「指先の痛みで3日ほど眠れなかった。手先が使えないから、大便は一週間我慢した。食事も、ハンバーガーなど手のひらでつかめる物しか口に入らなかった」(1995年12月26日、朝日新聞)
と、手術後の様子をふり返っている。
今回明らかになった韓国と米国のケースも、「手術」の方法はやや異なるとはいえ、相当の代償を支払わされることになりそうだ。