混浴での女性のクレームが多いとして、青森にある温泉の常連客らが、連休期間中にマナーアップ運動を繰り広げている。混浴でのマナー違反には、ジロジロ見るだけに終わらないトンデモ事例があるようなのだ。
勘違いしたふりをして女性側に入る人もいる
酸ヶ湯温泉の公式ホームページ
「きれいな女性がいたら、あなただって目がいくでしょ。見えても、知らんぷりするぐらいならいい。それが、ずっと凝視するお客さんがいるんですよ」
青森市の酸ヶ湯温泉のある従業員は、混浴でのマナー違反をこう嘆いた。
同温泉は、八甲田山中にある混浴の大浴場「ヒバ千人風呂」で知られる。約320年以上前に開湯したとされ、国民保養温泉地の全国第1号でもある。そこで、ここ4、5年、男性客のマナーが低下しているというのだ。
「10人ぐらい一斉に凝視することもあるんですよ。堂々と入ってきて、堂々と見ているんです。大きな浴場なので、隠れる場所もありません。これでは、女性客は、なかなか入れませんね」
マナー低下を防がないと、伝統ある混浴文化が守れない。そう考えて、温泉の常連客らによる「混浴を守る会」が2005年に発足した。「見ればまいね 見せればまいね(見たらいけません 見せたらいけません)」と大書した看板を入り口に掲げたり、守る会のたすきをかけたメンバーの番台が監視したりする活動をしている。現在は、全国で8000人を超えるメンバーがいるという。
特に連休期間は、観光客が多数来て、マナーが非常に悪くなる。そこで、期間中の08年4月26日から5月6日まで、マナーアップ運動を行っている。運動では、たすきをかけたメンバーが館内でマナーを呼び掛けるなどしている。
館内で4月29日に記念講演をする温泉観光士の谷口清和さん(青森市)は、さらにひどい酸ヶ湯温泉でのマナー違反を挙げる。
「入り口から女性が階段を下りてくるのが見えます。そこに居座って、ずっと見ている男性客がいるんですよ。若い女性なら、男がそんなところで待っていると、引いてしまいますよね。それで入れずに、入り口のところで引き返すのがパターンなんです」
女性が無事入れても、まだ難関が待っているという。
「隅にある札で浴槽が真ん中で男女に分かれていると知らせているんですが、お湯に入ると、勘違いしたふりをして女性側に入る人もいるんです。また、女性の洗い場には、見えないようについたてがあるんですが、これも勘違いのふりして入ってしまうんですね」