珍しく降った春の大雨の中、北京モーターショーは2008年4月20日、中国内外の自動車メーカー約2100社が出展して開幕した。膨脹している中国自動車市場に、世界各国のメーカーも注目しているだけに、会場は熱気に包まれた。とりわけ関心を集めたのは日本メーカー。トヨタと中国第一自動車が合弁した一汽豊田汽車銷售有限公司総経理の毛利悟氏は、今後の販売について「2010年に中国では少なく見積もって1000万台の車が売られるだろう。その時点でトヨタはシェア10%を取りたい」と語っている。トヨタは2010年に100万台の販売を実現しようというわけで、今回のショーにもその意気込みが示されていた。
モーターショーは展示即売の場でもある
展示されたトヨタカローラ
「一部の評論家は、3-4年後に中国の自動車生産量は、アメリカを抜いて、世界一になると豪語しているが、それは夢ではない」。(中国)国務院発展研究センター産業部長の馮飛氏は、今後の中国自動車市場について聞くとそう答えた。自動車販売が「爆発」した2002年から、年間2桁の成長を継続しており、「2007年に前年比に21.8%増の880万台が売れ、今年は1千万台を上回ることは期待できる」(馮飛氏)。あと数年で中国は生産台数でアメリカを抜き、世界一になるかもしれない、という情勢なのだ。
日本企業は、展示の中でもっとも注目を集めている。トヨタ、日産、三菱自動車などの各社の首脳には、雨のようなフラッシュが浴びせられた。三菱自動車の益子修社長は、得意な英語でマスコミ各社に「中国での販売ネットを整備し、輸出車と中国国内での組み立て車の販売に力を入れる」と宣言した。人気映画俳優のジャッキー・チェンは、雨で飛行機が遅れ、益子社長のスピーチに間に合わず、午後4時ごろやっと到着した。すぐに三菱自動車のブースは、立錐の余地もなくマスコミ各社が集まった。
北京モーターショーには一つの特徴がある。もっとも高価な車が、誰に買われるかが全中国の注目のポイントであった。欧米メーカーの天文数字のような高価の車は、初日に買われていく。モーターショーは、展示即売の意味合いもあるのだ。
今年は違う。トヨタのブースでは、すべての説明看板に、詳細な技術的なデータのほかに、この車はいくらで売っているのかが、格段と大きなゴジック数字で示してある。大衆車の場合、ほぼ中国都市の中流水準の人の年収とそう変わらない10万元か15万元(1元は16円)となっている。