北京五輪聖火リレーの出発地を辞退した長野市の善光寺に対し、在日中国人留学生向けの掲示板に、放火をほのめかすような書き込みがあったことが分かった。また、リレー当日、中国政府のチベット人権侵害に抗議する人らにスタンガンを使うよう呼び掛ける書き込みも同じ掲示板で見つかった。
「俺が火をつけて燃やしてやる」
4月18日午後11時59分に書き込まれた善光寺「放火予告」
長野市内で2008年4月26日に行われる聖火リレーの出発地だった善光寺は同18日昼過ぎ、記者会見して突然辞退を明らかにした。仏教徒としてチベットの人権問題を無視できないことなどが理由だった。同寺事務局によると、この決断に対し、翌日までに、同寺にかけられた電話が約200本もあった。そのほとんどが、「英断だ」などと評価するものだったという。
ただ、一部で「なぜ、辞退してしまったのか」と問い詰める電話も数本あった。その後、関係者を嘆かせる事件が起こった。辞退との関連はまだ不明なものの、20日早朝になって、国宝となっている本堂に白いスプレー状の落書きが計6か所も見つかったのだ。
一方、ネット上では、中国系のサイトや掲示板を中心に、辞退への反発の声が広がっている。そして、18日深夜には、在日中国人留学生向けの掲示板に脅迫めいた不穏な書き込みが現れた。
「東京華人網」というコミュニティサイトで、中国語で「俺がちょっと行って、火をつけて燃やしてやる。おまえらも、ガソリンを多めに持ってくるのを忘れるなよ」と書き込まれていたのだ。文中に、【善光寺】とあることから、放火予告とみられる。このサイトでは、聖火リレーを当日応援しようと、東京からバスで長野へ向かうツアーを告知して募集していた。そのコメント欄に、「放火予告」は書き込まれた。
この書き込み主のプロフィールを見ると、埼玉県川口市の未婚男性(28)とある。驚くことに、チベットの中心都市、ラサ出身だという。現在は、博士課程に在学、あるいは博士号を取ったとしている。