日本一影の薄い県――そんな汚名を返上するため、栃木県の経済団体が立ち上がった。目立つための「キャッチフレーズ」を募集する、という一見地味な取り組みだが、県の認知度の低さに危機感を持った県内外の出身者から4000件を超える応募が寄せられた。
日経リサーチの地域ブランド調査で全国最下位
「栃木県地域ブランド全国最下位脱出キャッチフレーズ」で目立てるか?
「私達の住んでいる栃木県は『日本一影の薄い県』と言われています」
「栃木県の地域ブランドは、47位と最下位です。このままでいいのでしょうか?」
こんな告知をしたのは、栃木県内の民間企業で組織する「栃木県経済同友会」。同会によれば、日経リサーチの地域ブランド調査で、独自性や愛着度などから評価したところ、47位で全国最下位だったという。そうしたことから、2008年2月1日~3月31日にかけて「栃木県地域ブランド全国最下位脱出キャッチフレーズ」を栃木県内に住んでいる人や栃木県出身者を対象に募集した。
J-CASTニュースに対し経済同友会の担当者は「目立つキャッチフレーズで知名度をあげ、企業誘致や観光誘致を図りたい」と意気込む。応募も当初の予想を超えて、4399件のキャッチフレーズが寄せられた。08年4月25日に発表される予定だ。
県民性は「おとなしく目立たず」?
しかし、なぜ栃木は「影が薄い」のか?
栃木県経済同友会の担当者は、
「餃子といえば宇都宮。日光に行ったことがあるという人も、それが栃木にあることを知らないケースが多いと聞きます。栃木の『栃』という字も日常ではあまり使わないことも大きいでしょう。東京から来る企業の方も『いいところなのにね』と言ってくれるのですが」
と話す。
栃木県広報課によれば、県庁でも、栃木県出身の著名人を「栃木特使」として招いたり、県民の歌を作ったりと「知名度アップ」を図ってきた。しかし、それも「行政も何かしていたようですが、それすら目立たない」(企業団体のある関係者)と指摘されるほど「影の薄い」ものだった。
「栃木県は県民所得で6位になるなど実力的には高い。それに伴う認知が不足しているのが問題です」(広報担当者)
県では、いちご「とちおとめ」など名産品が多いことを売りに、物産展などを開いて「栃木ブランド」を売り出すことで、県の認知度を高めたいという。
ちなみに「出身県でわかる人の性格」(岩中祥史氏著・新潮社)では、県民性について「『おとなしく目立たず』が信条」と分析されている栃木。県民からの「目立つキャッチフレーズ」でどれほど「影が薄い県」から脱却できるか注目される。