ブランド大学であれば、どの学部でもというのは良くない
今回、「特別転籍」した8人の転籍先は、法学部、経済学部、理工学部、薬学部の4学部。理系・文系が混在していることについては、
「『何を学びたいか』すなわち『どの学部に入りたいか』を先に決めるべき。学びたい中身で進学先を選ぶのが筋でしょう。『ブランド大学に入れるのであれば、どの学部でもいい』というのは良くない。就職活動の時も、『上場企業ならどこでも良い』ということになってしまうのでは」
と、苦言を呈している。
今回は、たまたま「定員超過」という事態にみまわれたが、基本的には、私立大学は苦しい状況に置かれている。日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、07年度で定員割れに追い込まれているのは、実に大学の4割、短大の6割。その一方で、
「受験生には『大都市指向』『有名大学・ブランド志向』が強く、このふたつを満たす大学による寡占化が進んでいます」
と清水さんは指摘する。これを裏付けるかのように、代々木ゼミナールの調べによると、07年春の大学入試では、私立の有名15大学が延べ出願者数の37%を占めている。「上位2割の大学が全体の8割を取る」という状況に近いのだという。
そうなると、地方の無名校の生き残りは絶望的なのだろうか。清水さんは、
「いいえ、地方の大学でも、例えば国家資格の取得に力を入れている、といった『小粒でもピリッと辛い』大学は生き残れるでしょう。逆に、地方にあって、特に特徴がなくて歴史が浅い…、といった大学は厳しいのではないでしょうか」
と話している。