北京五輪の聖火リレーをめぐるトラブルが続くなか、今度は中国でフランス製品の不買運動が広がっている。パリで聖火リレーが妨害を受けたことや、サルコジ大統領が、開会式不参加を事実上表明したことがナショナリズムを刺激したものとみられ、運動を呼びかけるウェブサイトには「中国を侮辱することはできない!」といった文面が踊っている。同様の呼びかけはケータイメールでも行われており、チェーンメール化が進んでいる。
「親会社が、ダライラマに金銭的援助をしている」
キャンペーンサイトでは、フランス製品の不買運動を呼びかけている
2008年4月7日にパリで行われた聖火リレーは、出発直後から妨害行為が多発。トーチの火を消して、バスに乗り込んで火を運ぶなどを余儀なくされた。さらに翌4月8日には、サルコジ大統領が開会式への出席の条件として「中国とダライ・ラマ14世との対話再開」を挙げた。大統領は07年11月に訪中した際、開会式への出席を約束しており、事実上約束を反故にした形だ。
これらが中国のナショナリズムを刺激。2008年4月15日ごろから、フランス製品の不買運動が表面化した。矛先を向けられたのは、フランスの小売り大手「カルフール」。同社は中国で122店舗を展開し、約4万人の中国人従業員が働いている。不買運動は、キャンペーンのために立ち上げられたウェブサイトやケータイメールを使って行われており、
「カルフールの親会社が、ダライラマに金銭的援助をしている」
などと同社を非難。5月1日から、オリンピックまでの約3ヶ月間不買運動をするように呼びかけている。
例えば、キャンペーンサイト「anti-jialefu.cn」(「jialefu」は「カルフール」を中国語読みしたもの)では、このように呼びかけている。
「フランス政府とフランス人は、五輪トーチの真剣な精神を無視した。我々は、再びカルフールに行って買い物をしないように、買い物は別のスーパーでするように呼びかけます。中国を侮辱することはできない!!」
一方のカルフール側は
「『中国の政治や国際関係に、カルフールが何らかの役割を果たしているのではないか』という、中国国内のインターネット上で出回っている情報は間違っており、根拠なきものだ」
との否定コメントを発表するも、騒動は収まりそうもない。
デモ隊と警察のにらみ合い状態が続く
中国政府側も、外務省の姜瑜報道官が、4月15日の記者会見で
「フランス側が中国国民の声に耳を傾けるよう希望している」
と述べるにとどまり、特に不買運動に歯止めをかけようとする発言はなかった。
北京在住のジャーナリストがJ-CASTニュースに明らかにしたところによると、08年4月16日午後の時点で、横断幕を準備した一団が目撃されているが、警察とのにらみ合いの様な状態が続いており、まだ実際のデモ活動が行われるには至っていないという。
さらに、不買運動を呼びかけるケータイメールには、そのほとんどに「このメールを他の人に転送してください」との文言が含まれており、急速にチェーンメール化が進んでいるという。
実際の不買運動が始まるまでには、あと2週間あるが、今後の運動の広がりに関心が集まりそうだ。なお、現時点では、日本製品に対する不買運動は起こっていないという。