「正拳突き」からの「下段回し蹴り」――。女子高校生のグラビアアイドルが電車内の痴漢をこんな技で撃退したとして、ネットで話題になっている。それも、100キロもの巨漢をなぎ倒したというから、どんなにすごいのか。
100キロもの巨漢をなぎ倒す
痴漢撃退を告白した倉持結香さんの公式ブログ
このグラビアアイドルは、倉持結香さん(16)。若手漫才師の日本一を決めるM-1グランプリにお笑いコンビ「アイマネ」で出場。そして、公式ブログの2007年10月27日付日記で、ある出場者を「メガネぶん取って粉々に踏みつけてやりたい」と罵倒して、ブログが炎上したことがある話題の人だ。今回は、ブログの08年4月14日付日記で、痴漢撃退の武勇伝を書いて注目を浴びた。
高校に向かう途中の結香さんは、ギュウギュウ詰めのJR山手線の電車内で、痴漢に下半身を触られた。いつもは手で払うぐらいだが、この日は怒って痴漢の手をつかみ、「次の駅で降りてください!」と叫んだという。
この痴漢が「ごめんねごめんね」とささやいたため、逆ギレ。駅に着くと、痴漢の胸ぐらをつかんでホームに引っ張り出した。そして、とっさの行動に出たのだ。
「そうしたら予想通り、走って逃げようとしたので、事務所でマネージャーさんに習っている空手を使うのは今だ!と思い、『正拳突き』からの『下段回し蹴り』を打たせていただきました。そうしたら、100キロ以上ありそうな人が、下段が効いたらしく倒れてしまいました」
その後、周りにいた人たちが助けてくれ、痴漢を連れて警察に向かったという。結香さんは日記で、「この痴漢さんは常習者で、警察も捕まえようと考えていたそうで、誉めていただきました」「空手がこんなところで役立つとは!!」と振り返っている。
結香さんが繰り出したのは、どんな連続技なのか。女子高校生が100キロもの巨漢を倒せるものなのか。全日本空手道連盟技術委員会の担当者は、J-CASTニュースの取材に、こう答えた。
「考え抜いたのではなく、とっさに連続技を出したとすれば、たいしたものですね。正拳突きとは、げんこつを握って突くことで、それ自体は難しくありません。下段回し蹴りの下段は、急所を指します。前に障害物があってすねがぶつかるときは、回し蹴りを使います。100キロもある男が倒れたというのは、股間に蹴りが入ったということなのかな」
ただ、技のレベルを聞くと、「実際に技術を見てみないことには分かりません」と話した。
「精神面で強くなりたい」と始める
そこで、結香さんが所属している東京図鑑のマネージャーを取材した。このマネージャーは、その繰り出した技について、「私が極真空手の出身なので、今年に入ってから教えています。連続技ですか? 胸ぐらをつかんで腕で一発突き、間合いができたので、蹴りを入れたということです」と説明する。結香さんは、級や段があるようなレベルではないという。
ただ、とっさの行動を評価する。「精神的な鍛錬のために練習しており、(痴漢撃退に)立ち向かった部分が多いと思います。ある程度やっていないと、普通の人では手が出ても蹴りは出ません。その点で効果がありました。」
結香さんは、気が弱いことを克服し、「精神面で強くなりたい」と希望して空手を習い始めた。週1回、事務所内のスペースや近所の公園で練習しているという。マネージャーは、「最近、護身術、ダイエットのために始める女性も多いようです。練習には、ほかの事務所の子も来ていますね」と話す。
結香さん以外にも、痴漢被害を訴えたタレントの例はいくつかある。例えば、「しょこたん」ことタレントの中川翔子さん(22)は、07年10月13日付のブログ日記で、痴漢に胸を触られたことを明かし、「ジュピターサンダーボルトを浴びせてまわしげりとびひざげり、クレイジーダイヤモンドで岩にしてやりたい」と悔しがっていた。
結香さんは、日記でいつも痴漢被害に遭っていることを明かしている。空手は、護身術レベルで教わっているというが、中川翔子さんらに影響されたことはないのか。結香さんのマネージャーは、「中川さんからの影響はわかりませんが、空手は痴漢撃退のために始めたのではなく、たまたまそれを使う場面に遭遇しただけです」と話した。
マネージャーによると、結香さんは、負けず嫌いな性格で、ブログ日記に載った写真は、腕を組み、空手で気合を入れる「オス」のポーズを取っている。