「悪者」扱いのスコアリングモデル
竹中氏は「新銀行東京の誤りはスコアリングモデルの運用方法にあったのに、手法そのものを『悪者』にした。それでは銀行は従前の、コストのかかる融資手法に逆戻りしてしまう」と危惧する。
また、経済評論家の山崎養世氏も同じ意見で、「スコアリングモデルは1件あたりの融資金額が少なく、融資の質が規格化できて、大数の法則が成り立つ場合に有効だ。新銀行東京は、こうした条件のどれをも満たしていなかった」という。新銀行東京が追加出資を招いた根本的な原因は審査能力の欠如と、それを黙殺した怠慢経営にあるとしている。
新銀行東京は融資残高を伸ばしたいあまり、リスクに見合った金利をとっておらず、なかには情実融資もあったとされる。銀行などは激しい貸し出し競争を繰り広げ、融資を伸ばそうとしているが、さすがにコンピュータの「評価」に漏れた企業にまで資金を用立てたりはしないし、そもそも「スコアリングモデル」を使ったために経営危機に陥った銀行などない。