株価大幅下落の「犯人」 外国人投資家に翻弄される銀行

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株価上昇は地銀2行だけ

   そうしたなかで、大手銀行と地方銀行(東京証券取引所第1部に上場した72行)を合わせた80の邦銀のうち、2007年度に株価が上昇したのは山形銀行(0.4%上昇)と、岐阜県大垣市に本店を構える大垣共立銀行(4.8%上昇)の2行だけだった。

   大手銀行株に比べて地銀株の下落率は小さいものの、それでも1ケタ台に抑えられたのはわずかに8行。大手地銀の横浜銀行は23.0%の下落。千葉銀行(下落率34.9%)や常陽銀行(同31.5%)などはメガバンク並みに下げた。

   下落率が大きい地銀株をみると、外国人投資家の持ち株比率が高いことがあげられる。たとえば、山形銀行の外国人投資家の持ち株比率は4.51%、大垣共立銀行は3.71%しかない。これに対して、千葉銀行は25.23%、常陽銀行は20.81%と20%超を占める。山形銀行と競合する、仙台に本店を置く七十七銀行のそれは19.08%だ(下落率は27.4%)。「外国人投資家の持ち株が高まったことなど、最近は株式の流動性が高まっている」(地銀関係者)ことは事実だし、サブプライ問題が顕在化して以降、外国人投資家が自国での損失の穴埋めに資金を引き上げているも確かだ。今回の株価下落では、それがはっきりと表れた。

   銀行株も、最近は外国人投資家が存在感を増してきた。たとえば、英国の投資顧問会社のシルチェスター・インターナショナル・インベスターズ・リミテッドは07年10月、岩手銀行の発行済み株式を5.01%保有し筆頭株主になった。シルチェスター社は常陽銀行の株式も6.07%保有し、大株主に顔を出す。

   岩手県では、北日本銀行や東北銀行も外国人投資家の持ち株比率を高めている。ただ、これは全国的な傾向。ニッセイ基礎研究所で金融セクターをウォッチする矢嶋康次・主任研究員は、「デフレ脱却などで、メガバンク株が期待先行で買われた経緯がある。それが大手地銀などに広がっていた」とみている。

   メガバンクでも外国人投資家の持ち株比率は30%を超すので、その動きが株価に及ぼす影響は小さくない。

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