デニーズ、ジャスコ「大量閉店」 ファミレス、スーパーはもうダメなのか

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   ファミリーレストラン、総合スーパーが、原油高などによる消費低迷やニーズ変化の影響で苦戦している。ここ3年で、セブン&アイ・ホールディングスが「デニーズ」約130店舗を減らし、イオンが「ジャスコ」「マイカル」約100店舗を閉店か業態転換すると報じられた。ファミレス、スーパーといった既存店舗は、その役割を終えたのか。

「デニーズの2割強が消える」

「アリオ鳳」のホームページ
「アリオ鳳」のホームページ

   150以上もの専門店を集めた大型ショッピングセンター「アリオ鳳(おおとり)」が2008年3月31日、大阪府堺市内にオープンした。流通大手のセブン&アイが手掛けただけに、傘下のイトーヨーカ堂も入店している。ところが、傘下のファミリーレストラン「デニーズ」はなかった。その代わり、1階の巨大なフードコートに、マクドナルドなどのファストフード店や鳥料理店、スイーツ店などの専門店が多数入っている。

「デニーズがない理由ですか?フードコートだけで、様々な専門店を集積して、いろんな味を楽しめるからです。ファミレスは、どちらかと言うとお客さまを囲うタイプですから」

   セブン&アイ広報センターでは、J-CASTニュースの取材にこう答えた。アリオ鳳については、「親子連れも楽しめ、考えていた以上に順調です」と声を弾ませる。同社では、このタイプを5年間で今の3倍に増やし20か所とする計画だ。

   このケースのように、かつて外食産業の花形とされたファミレスが苦戦している。日本フードサービス協会によると、08年2月の売上高は、ファストフードが前年同月比3.8%増と好調なのに、ファミレスは同3.4%も減少している。

   そして、セブン&アイは4月9日の決算資料で、ついに、デニーズなどの約140店舗を3年以内に閉店させる考えを明らかにしたのだ。同社では、デニーズが多くを占めるとしており、日本経済新聞の10日付記事では、約130店が閉店し、デニーズの2割強が消えると報じた。

「デニーズを減らすのは、外食を取り巻く環境が厳しいからです。メニューは今のお客さまのニーズにマッチしていません。また、原油高による影響があります。このため、外食を控え、惣菜などを買って家で食べる傾向もあります。実際、集客は落ちており、ファミレスは厳しいですね」(広報担当者)

ショッピングセンターが主流に?

   既存店では、流通業界の花形だった総合スーパーも、事情は同じだ。

   流通大手のイオンは、08年4月7日の決算発表で、運営する総合スーパー「ジャスコ」「マイカル」のうち約4分の1の約100店を、3年をめどに閉店か食品スーパーなどへ業態転換する考えを明らかにした。同社は、10年ぶりの営業減益となっており、広報担当者は、J-CASTニュースに、「店舗によって違いますが、老朽化したり、ニーズに合っていなかったりしたので決めました。衣料品が伸び悩んでいる店舗もあり、そういう場合は専門店にお願いすることがあります」と説明した。

   一方、セブン&アイ傘下の総合スーパー「イトーヨーカ堂」も、立地によっては、単体だけでは集客に不安があるようだ。セブン&アイの広報担当者は、今後、広大な土地が確保できる場合、専門店も多数併設したアリオ鳳のような大型ショッピングセンターを作るとした。しかし、土地のない住宅街近隣では、イトーヨーカ堂ではなく食品スーパーを核にして、衣料専門店やドラッグストアを加えた近隣型ショッピンセンターを作るとしている。

   とすると、ファミレス、総合スーパーといった外食・流通の花形産業は、ごく限られた環境でしか生き残れないことになる。その代わり、食品スーパー、ファストフード、テナントの専門店が集積したショッピングセンターが主流になるのだろうか。

   この分野に詳しいエース証券リサーチセンター部長の石飛益徳氏は、次のようにみる。

「現在は、外食・流通産業が再編・淘汰する最終局面だと考えています。ショッピングセンターは、全部が成功するわけではなく、立地次第でしょう。人口が減るような土地なら、成功しません。ファミレス、総合スーパーでも、生き残れる余地はあります。ファミレスなら、駅などのターミナル立地、モール内での出店など、集客できるところに限られるでしょう。また、行政の市街地開発政策に乗ることも手です。単独でロードサイドの出店は、高齢化の中で難しくなっています。スーパーは、立地戦略をきちっと練り、安いものと高くても安全なものに二極化するニーズに対応して売り場、品揃えを変えたりする必要があるでしょう」
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