トヨタの富士重工への出資拡大 隠された狙いは技術者不足解消

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   トヨタ自動車が、富士重工業への出資拡大を目指し、最終調整を進めている。出資比率を現在の8.7%から17%程度に引き上げる見通しで、出資額は約300億円にのぼるとみられる。富士重との関係強化で、生産・開発能力を強め、米ゼネラル・モーターズ(GM)に勝る世界のトップメーカーとしての不動の立場を確保する狙いとみられる。

トヨタの伝統的な手法は変化、スピードを重視

トヨタは富士重の米国工場に「カムリ」の生産を委託している
トヨタは富士重の米国工場に「カムリ」の生産を委託している

   トヨタは2005年、富士重がGMとの資本提携を解消したのをきっかけに、富士重と資本・業務提携した。GMは当時、富士重株約20%を保有しており、すべてを売却したい意向とされた。しかいし、トヨタは20%を取得すれば公正取引委員会の審査が長引く可能性があったため、8.7%だけを取得、富士重が残りのほとんどを取得し「金庫株」として塩漬けにしていた。

   トヨタの提携戦略はかつて、長い時間をかけて経営哲学や生産手法などを相手企業に伝える方式を進めてきた。実際、ダイハツ工業と日野自動車にも出資しているが、両者を子会社化するまでには30年以上をかけている。

   しかし、この数年でトヨタの伝統的な手法は変化してきた。いすず自動車への出資は06年4月に行われたが、GMがいすゞ株を手放したのは同年4月で、わずか半年しかたっていない。富士重への出資拡大も05年の提携から2年半を経たに過ぎない。

   こうしたトヨタの素早い動きの背景には、世界的に競争が拡大していることがある。世界の自動車産業の戦線は今や大市場の北米や日本にとどまらず、中国やインドなどの新興市場、オイルマネーで潤うロシアや中東にまで広がっている。また、世界的に重視される環境技術の開発負担も重い。欧州では温室効果ガスの排出量が少なく、環境に優しいとされるディーゼルエンジンが主流となっているが、こうしたさまざまな分野での技術開発は不可欠だ。

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