「デジタルの利益が紙抜く」 日経新聞「成長神話」の危うさ

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広告出稿の減少が響いて、営業利益43.2%減

   日経の06年12月期の業績から見てみると、新聞事業は発行部数が1万部増えるなどして、売上高2337億円(前年同期比1.1%減)、営業利益は238億円(同比6.4%増)。デジタル事業も「日経テレコン21」のコンテンツ拡充、「NIKKEI NET」の新規広告が好調で、売上高759億円(前年同期比2.7%増)、営業利益173億円(同比25.1%増)だった。

   しかし、翌07年になると状況は一変。新聞事業は、外資系IT企業の日本離れや国内電機メーカーの低迷による広告出稿の減少が響いて、売上高は2291億円(前年同期比2.0%減)、営業利益に至っては同比43.2%減の135億円と「大不振」が浮き彫りになっている。これに対し、デジタル事業は営業利益172億円(同比0.4%減)で、これもわずかながらの落ち込みだ。確かに「デジタル」の利益が「紙」の利益を抜いたのは事実だが、言ってみれば新聞事業の「自滅」による「逆転」だったことになる。

   ちなみに、J-CASTニュースが同社に「逆転の主な理由」を聞いたところ、

「新聞事業の広告収入の減少などで前の期に比べて減益となったのに対し、デジタル部門は順調に収益を拡大したためです」(経営企画室広報グループ)

と答えている。

   広告収入の減少にあえぐ新聞業界だが、日経もまた2007年は苦しんだということになりそうだ。「デジタル」が「紙」を「逆転」したのも、「本家」である新聞の不振が主な要因で、「世界で初めて」と銘打つ程のものではなかったようだ。

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