「使える交際費がたんまり増える」――企業の「社用族」のあいだで、冗談半分にそんなことがささやかれている。今回の税制改正案がらみで、「交際費の損金不算入」の特例が外れたためだ。つまり、経費と同じ扱いになるわけで、儲かっている会社なら思わず財布のひもが緩むことだって十分ありうるのだ。
交際費が経費として認められるようになった
経理担当者の財布の紐がゆるみそうだ
ガソリン税や地方道路税ばかりに目が奪われていた税制改正案だが、とんだ「ハプニング」が潜んでいた。
税制改正案の不成立と、2008年3月31日に成立した租税特別措置にかかる適用期限を5月末まで延長する「国民生活等の混乱を回避するための租税特別措置法の一部を改正する法律」(つなぎ法案)から、「交際費の損金不算入」の特例が外れた。もちろん、近いうちに何らかの手当てが施されるのだろうが、それまでは「交際費天国」が楽しめそうだ。
企業の交際費は、事業活動の経費として損金算入する必要がある。しかし、租税特別措置法にある「交際費の損金不算入」は、通常は経費として計上する交際費のうち、一定額を超えると経費として認めないという法律。例えば中小企業の場合、経費として計上できるのは400万円までとされていた。
ところが、この特例措置が税制改正案の不成立、さらには、いわゆる「つなぎ法案」の適用期限の延長から外れたことで、3月31日の期限切れで失効してしまった。つまり、交際費が経費として認められるようになったわけだ。
法人税は企業の利益に対してかかるので、交際費を経費として計上できるのであれば、企業の納税負担は軽減される。そのため、これまでも「交際費が経費として認められるかどうか、経理担当者はけっこう気を遣っています」(公認会計士)という。それが法の失効によって、いくらでも使えるというのだから経理担当者が思わず財布のひもを緩めてもおかしくない。ここ最近おとなしかった「社用族が復活する」との声もある。