大阪証券取引所と、日本証券業協会傘下の新興企業向け市場、ジャスダック証券取引所の経営統合問題に暗雲が漂ってきた。ジャスダックの取締役会が2008年3月24日、大証との取引システム一本化に向けた基本合意を結ぶ議案を否決してしまったためだ。背景には「自主独立」を望むジャスダック側の強い反発があると見られており、統合協議の行方は不透明だ。
委託費の額などで折り合えず?
ジャスダック株の72.6%を保有する日証協は07年12月、ジャスダック株を大証に売却する方向で協議を進めることを決めた。これを受け、日証協とジャスダック、大証の3社は統合に向けた具体的な議論を行い、最大の課題であるシステム統合についても2月から詰めの作業を行ってきた。
関係者によれば、3月中旬までにシステム統合についてジャスダックと大証が契約書を交わし、同月末までに日証協が正式に株式売却を決める予定だった。実際、大証の3月の定例取締役会と同じ3月18日、ジャスダックも臨時取締役を設定しており、この日にシステム統合での合意を目指していた。
しかし、肝心のシステム統合では委託費の額などで18日までに折り合えず、先送りされた。正式な契約書を準備して臨んだ24日のジャスダックの取締役会では、役員の反対で否決された。関係者によれば、システム委託の契約書はその数日前には作成され、ジャスダックの筒井高志社長も了解していたとされる。大証はこの日、システム統合合意を発表する記者会見まで設定していた。
日証協と大証が「当然合意できる」と見込んでいたシステム一本化が否決されてしまったのはなぜか。
筒井社長は24日の会見で、「条件の詰めができておらず、最終判断ができなかった」と主張。システム統合自体に反対ではないが、条件面で納得できるレベルではなかっただけだ、と説明した。