中国製冷凍ギョーザ中毒事件以降、もやしの「種」になる緑豆の入荷が激減している。2008年3月末には中国からの輸入がゼロになったメーカーも現れた。日本で使われる緑豆は90%が中国産。このままでは、日本の食卓からもやしが消える?
船積み許可、受け付けてもらえない
食卓のもやしはどうなってしまうのか(写真はイメージ)
もやしメーカーの老舗、上原園の早乙女勇社長はJ-CASTニュースの取材に対し、窮状をこう語った。
「3月下旬に到着して以降、中国からの緑豆の入荷が止まった。残留農薬の検査が立て込んでいるのか、輸出規制がかかっているのかはわからない。現地から『暫く輸出は難しいのでは』という連絡が入っている。輸出検査機関に船積み許可をもらおうとしても、受け付けてもらえないというんだ」
上原園は中国から緑豆を仕入れる以外に、吉林省に実験農場を展開。大連には07年秋に1年分の緑豆をストックし08年秋までの分は確保しているが、現在、入荷がストップしているというのだ。
もやしメーカーの団体の全日本豆萌工業組合連合会は、
「緑豆の入荷が滞ってきたのは08年2月中旬頃から。輸出規制があったかどうかは聞いていないが、この状況が続くと困ったことになる」
と打ち明けた。
日本農業新聞も08年4月3日付けの紙面で「庶民の味方、もやしがピンチ」と、この問題を報じている。中国産緑豆の輸入価格がここ数年高騰しているほか、入荷もされないとなれば、メーカーはピンチ。「体力」も消耗し、
「赤字が増えないうちに廃業する方がいい、という声も上がっている」
というメーカーのコメントを掲載している。廃業が増えれば「将来、全国的に供給不足の恐れもある」と推測している。
緑豆の輸入先を変えるしかない?
ただし、緑豆の入荷がストップしても、すぐにもやしが不足する、というわけではないらしい。国内に緑豆の備蓄があるからだ。上原園の早乙女社長は、
「07年末、直感的に雲行きが怪しいと感じ、国内に3か月分の緑豆をストックしました。ストック分を使って入荷を待っている状態です」
と明かす。また、北海道の大手メーカー・オシキリ食品はJ-CASTニュースの取材に対し、
「うちは納入業者と年間契約をしていて、緑豆は確保できている。3月も、この4月も問題ない」
と話した。しかし、
「中国は干ばつがあり、緑豆の価格も高騰した。中国国内の食品消費量も増えているため、こうしたことが今後の緑豆輸入にどう影響するか・・・」
と不安は隠さない。
仮に、今後も中国からの緑豆輸入が滞ってしまうとメーカーはどう対処していけばいいのか。早乙女社長は、中国産以外の緑豆の仕入れを商社から打診されていると打ち明ける。
「もともと日本では緑豆をミャンマー、タイから輸入していました。それが、中国産は質がよく安いため業界が中国産にシフトしたわけです。ところが、緑豆の仕入れ価格がこの5年で倍になり、価格メリットは薄まっています。入荷できない期間が長引くとすれば、輸入国を変えることになるでしょう」