コンビニエンスストアがファストフード店化してきた。ファミリーマートはサンドイッチのファーストフード・チューン、サブウェイとの共同店舗を展開する。セブンイレブンもフライドチキンなどを店内で調理して販売する店舗を拡大する。コンビニ業界は店舗網が飽和状態になりつつあることや売上げが伸び悩むなど厳しい経営環境にあり、新戦略として外食業界とのコラボレーションや「ファストフード店」化を打ち出した形だ。
外食とのコラボ、「利用者のチョイス広がり、マイナスではない」
コンビニは「ファーストフード店化」するのか(写真はイメージ)
2008年4月8日からファミリーマートはサブウェイとの共同店舗を展開する。東京・神田小川町に第1号店をオープン、30日には御茶ノ水駅前店を出店する。ファミリーマートによるとコンビニが外食チェーンと組むのは初めての試みという。ファミマはサブウェイを選んだことに、「小さな店舗から比較的大きな店舗まで、フレキシブルに対応できるところを考慮した」とし、「サブウェイとは5~10か店程度出店できればと話している」という。
サブウェイ側も、「当社の店舗は約8~25坪と比較的小さなスペースですむため、これまでは立地がよくても、大きなスペースの場所には出店しにくかった。ファミマとの共同出店で、それが解消できる。また集客力も通常の店舗より2、3割は増えそう」と期待する。
4月8日に初めて共同で出店する神田小川町3丁目店は、ひとつの入り口から店内に入れて、1階がコンビニの売り場、半地下のスペースがサブウェイになっていて、そこには17席を用意している。
今後出店する共同店舗の店内も、基本的にはこの店舗のように売り場スペースを分ける考えで、サブウェイも「コンビニ商品を持ち込んでの飲食は遠慮してもらいたい」と話している。
サブウェイのサンドイッチとのすみわけできるか
ところで、サンドイッチはコンビニの売れ筋商品のひとつ。そこが気になるが、ファミマは「三角サンドが主流なので、(サブウェイのサンドイッチとの)利用者のチョイスは広がると思う。マイナスにはならない」とみている。サブウェイの利用者の多くは女性なので、その人たちにコンビニのサンドイッチも食べてもらおう、という思惑もある。
サブウェイも、「当店のサンドイッチは価格で平均400円弱なので、(三角サンドとの)棲み分けはできると思います」と話す。
セブンイレブンは、07年6月から展開しているフライドチキンなどの店内調理店を現在の3000店から8000店に拡大する。「フライヤー」と呼ばれる調理器具を導入して、フライドチキンや牛肉コロッケ、から揚げ、アメリカンドック、フライドポテトなど、つくり立ての温かいものが食べられるのが利用者に好評で、一般の店舗よりも増収効果が大きかった。セブンイレブンによると、こうしたフライヤー商品の売上げは1日1か店平均で約1万5000円。「単純に考えても、この分の売上げがプラスになる」と話す。
J-CASTニュースがコンビニの「ファストフード店」化について聞くと、「コンビニはより便利に、より利用者のニーズにあった、地域性や、たとえば最近であれば食の安全・安心に配慮しながら、品ぞろえや店づくりを行っている。こうした変化に対応はするが、コンビニがファストフード店になるようなことはあり得ない」(セブン&アイホールディングス広報センター)と、きっぱり否定した。