マリナーズのイチロー選手(34)が、2008年シーズンから打席に入る際のテーマ曲を、歌手・石川さゆりさんの代表曲「天城越え」にしていた。どうやら「いろんなものを越えたい」というイチロー選手の思いで実現したようなのだが、開幕戦ではノーヒット。しかし、次の試合では3連続安打をたたき出すなど、早くも「天城越え」のご利益か?
「いろんなものを越えたいんです」
2008年4月1日(現地時間)のレンジャーズ戦に臨んだイチロー選手は、第1打席から3連続安打を放ち、5打数3安打1打点。チームは逆転負けしたものの、無安打に終わった開幕戦を「天城越え」する内容だった。
大リーグの球場で演歌がテーマ曲として流されるのは異例だ。確かに87年にレコード大賞を受賞し、紅白歌合戦で度々歌われるなど、日本の歌謡曲のなかでは超メジャーではある。しかし、「天城越え」は男女の激しい恋愛をテーマにした曲のはず。なぜイチロー選手は「天城越え」をテーマ曲に採用したのか。
08年4月1日のスポーツニッポンによれば、イチロー選手が07年大晦日の紅白歌合戦での石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」に感銘を受け、公演中の石川さんの楽屋を訪れて「いろんなものを越えたいんです」と「天城越え」の使用を申し出たのだという。
石川さんは自身のホームページにある「さゆり日記」で、その時の様子を綴っている。08年1月19日の「さゆり日記」によれば、イチロー選手は自身でインターネットで石川さんの公演のチケットを購入。「昨年、大晦日の紅白歌合戦で『津軽海峡・冬景色』を聞いて、ステージを是非観たいと思って、おじゃましました」と述べたという。
サムライをイメージしながらテーマ曲を作成
石川さんはイチロー選手の訪問が嬉しかったらしく、
「イチローさんはすごーく背が高くて、チャーミングで、素敵でしたよ。またお話する機会があれば嬉しいなぁ」
「アッ!!そう云えばイチローさんが生まれたのは、石川が『かくれんぼ』でデビューした年ですって?!どんだけぇ~~っ!(笑)」
といったはしゃぎっぷりだった。石川さんは08年3月5日~31日のあいだ、芸能生活35周年を記念した「石川さゆり特別公演」に臨んでいたが、4月1日の「さゆり日記」では、
「公演中に私もスタジオに入って、バッターボックスに向かうイチローさんをサムライにイメージしながら音楽を創り、プレゼントさせていただきました」
と公演中にもかかわらず、イチロー選手のテーマ曲の作成に取り組んでいたことを明かしている。オープン戦で不調、さらには開幕戦で無安打だったイチロー選手が輝きを取り戻したのも、石川さんと越えた「天城越え」だったのかもしれない。
今シーズンのイチロー選手は、大リーグ新記録となる8年連続200安打が懸かっている。