米国経済の減速感が強まるなか、これまで快調に収益を拡大してきた日本車メーカーの先行きに暗雲がたれこめている。米国はトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車が連結営業利益の半分以上を稼ぎ出すと見られる超重要市場。頼りになる収益源があるからこそ、各社は莫大な費用がかかる環境・安全技術の研究開発や新興国での工場建設といった先行投資をすることができた。その大黒柱が揺らぐとなれば連結経営全体の見直しが必要になってくる。
燃費の悪いライトトラックの販売は落ち込む
トヨタはライトトラックの減産に乗り出した
米国の新車販売は2月まで4カ月連続して前年実績を下回った。2008年は10年ぶりに1600万台の大台を割り込むとの見方が支配的で、なかには1500万台割れという悲観的な予測すらある。
トヨタ自動車はいまのところ米国新車市場について「サブプライム問題が少しずつ解決し後半には回復してくる」(渡辺捷昭社長)との見方を変えていない。
だがピックアップトラックやSUVなどライトトラック系を生産するインディアナ工場とテキサス工場で減産に入ることを決めた。規模と時期は明らかにしていない。
ホンダもライトトラック系の生産調整に乗り出した。アラバマ工場にカナダ工場からピックアップトラック「リッジライン」を移管。アラバマではミニバン「オデッセイ」SUV「パイロット」と3車種を生産することになる。日産も主にライトトラックを生産するキャントン工場の操業率の低さが懸案になっている。
ガソリンが1ガロン3ドル以上と依然高値が続く状況で、売れ筋は「カムリ」「アコード」「アルティマ」「カローラ」「シビック」といった乗用車。乗用車に比べ燃費の悪いライトトラックの販売は落ち込んでいる。