「味の素スタジアム」をホームグラウンドにしているJリーグの「FC東京」が、同スタジアムに対し激怒している。試合の2日前に大規模なコンサートを受け入れたためで、「芝生が荒れて試合にならない」という理由のようだ。一方、スタジアム側にとって「コンサートはドル箱」で、両者の考え方は全く噛み合わない。
「どれだけ芝生が荒れると思っているんだ」
「味スタ」は「芝生が成長する季節なので心配無用」と話す
「FC東京」は2008年5月6日に「味スタ」で「名古屋グランパス」を迎え撃つことが決まっていたが、08年3月中旬、「味スタ」側から試合の2日前の3日、4日に人気バンド「X JAPAN」のギタリスト、hideさん(享年33)の追悼イベントが開かれることを聞かされた。このコンサートには「X JAPAN」メンバー以外にも「LUNA SEA」「Dir en grey」などビッグネームが20組も競演。2日間で延べ10万人の観客が集まるのだという。
これに対し「FC東京」は、
「どれだけ芝生が荒れると思っているんだ。しかも2日前のコンサートじゃないか」
と激怒した。「FC東京」はJ-CASTニュースの取材に対し、これまでも「味スタ」でコンサートやイベントが行われていて、サッカーの試合に影響が出ないようにお互い上手く調整してきたが、今回だけは寝耳に水の「特別」な出来事だとし、
「(日程変更や試合会場の変更など)どのように対応するか現在検討中です」
と怒りが収まらない様子だった。
一方の「味スタ」は、5月は芝生が成長する季節のため心配いらない、とし、
「中一日あれば芝生の修復は可能ですし、これまでもコンサート後に利用者から苦情が来たことはありません」
と自信を覗かせる。「コンサート開催を事後報告してきたのはけしからん」などの「FC東京」からの苦情については「よくわからない」とし、
「これからもコンサート、イベントなどにできる限りスタジアムを提供し、より多くの人に楽しんでいただく姿勢に変わりはありません」
とJ-CASTニュースの取材に語った。
「コンサートはドル箱で、年に何度もやりたいのが本音」
ちなみに、hideさんの追悼イベントは、主催者側から開催の打診が来て会場は押さえているものの、正式な申し込みはまだなのだという。
Jリーグチームのホームグラウンドでも、サッカーのみの開催では採算が取れない。しかし、サッカー以外に貸し出すと、グラウンドが荒れ、チームから反撥も出る。関西にあるスタジアムはJ-CASTニュースに、
「Jリーグだけでは全然赤字。トラックを陸上競技に貸し出しても、たかがしれています。だからコンサートはドル箱で、年に何度もやりたいというのがホンネです。ただ、芝生が荒れますから、芝生の生え変わり時期に年に1回のコンサートは死守したいのです」
という苦しいサイフ事情を解説する。
「味スタ」は、「東京ヴェルディ」のホームグラウンドでもある。今回の騒動についてヴェルディの担当者は、新聞が伝えたこと以外の情報はない、としながら、
「味スタも法人ですから利益を考えるのは当然だと思います。私どもとしましては、そうした中で、少しでも良いピッチコンディションが願い、ということですね」
とだけ話した。