「有害図書指定」は出版社にとって死活問題
「有害図書」に指定されると、コンビニ業界団体の規定で、原則コンビニでは販売できなくなってしまう。週刊誌の売り上げの半分以上をコンビニが支えているとも言われ、「有害図書指定」は出版社にとっては死活問題だ。
同編集部では、
「『申し入れ』を受けて、表現についての内規を作りました。1月中旬からは、これが反映された誌面になっています」
と、マーケティング上の判断から都の申し入れを受け入れたことを明らかにしている。実際の誌面も、1月下旬以降は、以前と比べると、比較的穏やかなものになっている。
都庁側は、3誌が申し入れの対象となった経緯について
「これらの雑誌は書店やコンビニで『区分陳列』されておらず、青少年が手に取る可能性がありました。(グラビアの内容も)他と比べて『ちょっとこれは…』という部分がありました」
と説明。現時点で「申し入れ」の対象を3誌以外に広げることについては否定的だ。
ただし、自治体レベルだけではなく、政府・与党レベルでも、同様の動きが進んでいる。自民党の青少年特別委員会は07年12月11日、「青少年の健全な成長を阻害するおそれのある図書類の規制に関する法案」(仮称)の骨子案を了承した。これまでは都道府県ごとに「有害指定」していたものを、全国で一本化しようというものだ。同部会では、今後条文化を進め、国会提出を目指す考えだ。
このような状況に対して、「ヘアヌード」の産みの親とされる、元「週刊現代」「フライデー」編集長の元木昌彦さんは批判的だ。08年3月13日、自身が社長を務める「オーマイニュース」のコラムで、
「出版社側も怯えるばかりではなく、主張すべきところは堂々とするべきだろう」
と出版社側に注文をつける一方で、
「わいせつ表現も言論表現の自由の一つだ。ここまで来た表現の自由を、30年昔に後戻りさせてはいけないと思う」
と、規制強化の流れに警鐘を鳴らしている。