アルピニストとして知られる野口健さんが自身の公式ブログで、中国チベット自治区での大規模な騒乱について「これ以上の非人道的な行為が繰り返されるならば、ボイコットという最終手段が選択肢に入るのは止むを得ない」と宣言した。サイト内では、中国政府を厳しく批判した野口さんの発言に賛同するコメントが相次いでいる。
「二度とチベットに入れないかもしれない」
アルピニストの野口さんは中国政府をブログで批判した
野口さんは、1999年5月にエベレスト(ネパール側)の登頂に成功、2007年5月には中国側からエベレスト(チベット名ではチョモランマ)を登頂して成功している。また、チョモランマに沢山のゴミが捨てられているとして、清掃活動にも取り組むなど、チベットの関係は深い。
そんな野口さんが自身の公式ブログのなかで2008年3月22日こう述べた。
「オリンピックに向けて一生懸命励んできた選手の気持ちを思えば、北京オリンピックの『ボイコット』などそう簡単に口にはできない」としながらも、
「これ以上の非人道的な行為が中国によって繰り返されるならば、中国に対する明確なメッセージとして中国が最も恐れている『ボイコット』という最終手段がその選択肢に含まれるのも、また止むを得ない」
同日の記事によれば、1996年以降「毎年のように」チベットを訪れたが、区都ラサの発展ぶりとは対照的に、経済格差でチベット人の生活は苦しい現状だという。また、野口さんはチベット人が中国の警察に木の棒で殴られている姿を何度ともなく目撃した、とも明かしている。
野口さんは別の記事でも、06年10月に報じられた、ネパールに亡命しようとしていたチベット人が中国当局に射殺された事件について言及、3月22日の記事でも「中国にとってタブー中のタブーであるチベット問題について発言を繰り返せば二度とチベットに入れないかもしれない」「発言に躊躇した」とアルピニストとしての心情を吐露している。その一方で、チベット問題を取り上げた理由を
「現場を知っている人間は逃げられない。確かに登山家に出来ることは限られている。しかし、私にも何かが出来るはず。そうせめて声を上げ続けていきたい」
と説明している。