「コーヒー戦争」が激化 マック「プレミアムローストコーヒー」月3000万杯

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   「おいしいコーヒー」といえば、コーヒーチェーン。そんな時代が変わりつつある。ファストフード業界が「コーヒー競争」に本格参入しているからだ。2008年2月に日本マクドナルドは高級豆を使用した「プレミアムローストコーヒー」を投入、1か月足らずで3000万杯を売り上げた。コーヒーがおいしければ、ほかの商品の売り上げ増も見込める。「単体でも満足できるコーヒー」は、新たな顧客層を取り込み、市場を広げようとしている。

豆に合わせたコーヒーマシンを各店舗に導入

すでに3000万杯を売り上げた「プレミアムローストコーヒー」
すでに3000万杯を売り上げた「プレミアムローストコーヒー」

   オリコン子会社の「オリコンDD」が2008年1月22日に発表した「顧客満足度調査」の結果によると、「買いたいコーヒーランキング」の1位はマクドナルド(10点満点で7.31点)で、コーヒーチェーンのドトール(2位)、スターバックス(4位)を抜き、モスバーガーもスターバックスを抜いて3位に食い込んだ。

   米国でも同様の調査が行われ、「Consumer Reports Magazine」07年3月号によると、4つのチェーン店の同価格帯のコーヒーを、調査員が飲み比べたところ、バーガーキング、ダンキンドーナツ、スターバックスを押さえて、マクドナルドのコーヒーが「一番味が良い」と判定されたという。

   その余波か、米スターバックスは2008年2月27日(現地時間)に、17時半から約3時間半にわたって、全米7100店を一時閉鎖、13万5000人のスタッフに対して研修を行った。あのスターバックスもうかうかしていられない状況になってきているようだ。

   日本のファストフード業界では、日本マクドナルドが、2008年2月15日に「プレミアムローストコーヒー」を投入。コーヒー豆にはブラジル産の「サントスNo.2」、コロンビア産の「スプレモ」、エチオピア産の「モカ・シダモ」、グァテマラ産の「グァテマラ・SHB」の高級アラビカ豆を使用し、この豆にあわせたコーヒーマシンを全店舗で導入して、オペレーションも見直したほか、コーヒーカップも新たに米国の本社と共同開発するという力の入れようだ。

   またモスバーガーでは06年10月から、従来のブレンドコーヒーに加えコロンビア豆をブレンドしたマイルドコーヒーを投入し、現在も「ハンバーガーと一緒でも、コーヒー単体でも満足できるもの」(同社)を目指して開発が進んでおり、ロッテリアでも深煎りイタリアンロースト豆2種類を使用するなど、「おいしいコーヒー」を目指す動きが広がっている。

ビジネスマンやOL層の取り込みを狙う

大阪・梅田で行われた3000万杯突破イベント
大阪・梅田で行われた3000万杯突破イベント
「1年に1回はマクドナルドに行くという日本人は9割以上。経営面では、この広いリーチをいかに伸ばせるのかということが課題だった。マクドナルドのコアの顧客層であるヤング層、ファミリー層ではなく、比較的遠いビジネスマンやOL層を取り込み、顧客ベースを広げるという点で、『プレミアムローストコーヒー』は戦略的に重要度の高い商品だ」

   同社のマーケティング本部長・岩下充志氏は、2008年3月26日に大阪・梅田で行われた「プレミアムローストコーヒー3000万杯突破イベント」でこのように述べた。

   同社によれば、「プレミアムローストコーヒー」を投入したのは、「ファストフードのコーヒーに期待していない客が多かったため、コーヒーを強化して来店機会を増やしてもらうのが狙い」で、実際に、従来商品に比べ2倍近いペースで売り上げているという。コーヒーは経営の根幹に関連する商品という位置づけだ。

   また、コーヒー豆の値上がりなどで、価格改定に踏み切るコーヒーチェーンも出てきているが、マクドナルドの「100円」はそのまま。「コーヒーを飲むと同時に他の商品も是非買っていただきたい」(岩下マーケティング本部長)というように、顧客の来店数が増えれば、ハンバーガー商品などの売り上げ増を見込めるという強みもある。安価で「おいしいコーヒー」が、コーヒーチェーンにとって脅威になるのは間違いない。

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