「値下げしないよう系列のスタンドに要請」はウソ?
3月27日時点で値下げを明らかにしているスタンドは一部だが、各紙とも、競争激化などからさらに波及する見通しと報じている。関東で店舗を展開するさいたま市のガソリンスタンドでは、J-CASTニュースに、「25円の値下げなんてとんでもないことですが、ほかのスタンドが先行すれば追随するしかない」と明かした。消費者から「なんでお前のところは値下げしていないんだ」と言われるのを危惧しているという。
同社が発注しているタンクローリー配送会社では、「4月に入ってどの程度が売れるか分からない」として、3月末まででスタンドからの自動発注を止めて電話受注にすることにしたという。このため、スタンド側は、「発注が殺到すれば、あっという間に品切れになる」と心配していた。
一部の新聞では3月26日、スタンドへの悪影響を防ごうと、石油元売り最大手の新日本石油が4月1日以降も値下げしないよう系列のスタンドに要請していると報じた。しかし、同社は27日、J-CASTニュースの取材に対し、「そういう事実はありません。うちがスタンドを運営しているわけではないですし、再販価格の指示になるからです」と答えた。ただ、「適正な在庫を確保し、品切れしないように、スタンド側にお願いしています」とした。4月1日から25円下げる系列のスタンドがあるとは聞いていないという。
一方、ガソリンスタンドでつくる全国石油商業組合連合会は、買い控えでスタンドの資金繰りが悪化するとして、各元売り会社に3月分のガソリン税支払いについて2か月間繰り延べるよう要請した。産経新聞の27日付記事によると、各元売り会社はスタンドごとに支払いの延長などを検討する方針としている。ただ、「ありがたいですが、その対象になるかどうか分からないので、当てにしないことにしています」(会津ゼネラル)との声も出ている。
全国のスタンドが4月1日から25円値下げすると、約400億円の損失になるという。これに対し、各報道によると、福田康夫首相は、3月末までに記者会見し、スタンドへの救済策を打ち出すことを検討している。前出のさいたま市のスタンドでは、「今は、政府の救済措置を見守っている状態です。政府が4月1日からガソリン税の還付をするようなら混乱はないのですが…。早く指針を出してほしい」と話していた。