減産計画の失敗で生乳不足 バターが店頭から消える日

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   「店頭からバターが消えるのではないか」。こんな話がささやかれている。中小のスーパーマーケットではバターがほとんど品切れ状態だという。原料となる生乳の不足が背景にあるようだ。生乳は需要の多い飲料用とチーズ用に優先して使用されるため、バターが真っ先に打撃を受けた形となった。

ほとんど品切れで、1人2個までと制限

朝の食卓からバターが消える?
トーストからバターが消える?

   2008年3月22日付けの「朝日新聞」に、菓子店の経営者による投書が掲載された。「バターが手に入らない。無策な政府に怒りを覚える」という内容だ。店ではひと月に80kgの業務用バターを使用している。07年秋から手に入らなくなったため、経営者は通販サイトや食材店で単価の高い市販用を購入していたという。しかし、先週ついに市販用も姿を消したと書かれている。

   業務用洋菓子材料をインターネットで販売する東名食品でも、ほとんど品切れしている状態だ。かろうじて在庫のあるものでは、1人2個までと制限している。
   また全国に展開する中規模のスーパーマーケットは、「ギリギリの状況だ」と話した。同店では、品薄になることが事前にわかっていたので、07年秋から優先的にバターを仕入れてきた。しかし今後については、「いつ入荷できるかわからない」と不安を示した。

   バター不足の背景には、原材料の生乳が減産していることにあるようで、一部の消費者からは「国の短絡的な生産計画がバターの品切れ状態を引き起こした」と、非難する声が上がっている。
   農林水産省は、「数年前に生乳の生産量が国内で過剰となり、2006年から07年に乳牛の頭数を減らすなどして生産調整をかけたことが影響した」と認めている。
   また、世界的な生乳価格の高騰も影響している。それまで海外の生乳を使用していた乳業メーカー等は一斉に国産に切り替え、国内では残り少ない生乳の取り合いになった。

農水省は「品薄状態は楽観視できない」

   北海道の農畜産物を流通・販売するホクレン農業協同組合連合会によると、08年3月から道内では生乳の生産量が回復している。また森永乳業の広報担当者は、「クリスマスやバレンタインといったイベントが去り、消費のピークが一段落したので、今後は店頭での品薄状態が解消されるだろう」と話している。
   一方農水省は、「08年度には生乳を増産する予定だが、蛇口の水のようにひねればたくさん出るものではないため、楽観視できない」と慎重だ。

   大手乳業メーカーは、バターの価格を08年4月から順次値上げすることを発表した。雪印乳業は8%、よつ葉乳業バターは9%、森永乳業は200gあたり35円値上げする。

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