精神科医・和田秀樹さんインタビュー(上)
「映画を撮るために医者になった」

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作っても上映できない「独立系映画」の苦難

撮影の高間賢治さんとモニターチェックする和田秀樹さん
撮影の高間賢治さんとモニターチェックする和田秀樹さん

――作品を撮っても上映されないものがものすごくあるということを聞きますが、実際、どうなんでしょうか?

和田 聞いた話ですと、劇場公開したいと思って作られる映画が年に500本から600本あるそうです。そのうち、映画館にかかるのが100本あるかないか。あとは最初からDVDにするとか、海外で先に公開する、あるいは映画館ではなくホール上映をするなど、いろいろな方法をとっているようです。結局、今の日本映画の現状ってハリウッド映画化したというか、スクリーンの数は増えているし、観客の数も増えている。映画は斜陽産業ではなくなった。
だけど、逆に言えば「シネコン」というのは12スクリーンあっても「ヒーロー」みたいな話題作は4から6スクリーンを占めちゃう。今の「デスノート」もそんな感じですよね。 スクリーンの数が増えたのにかかる映画の数は限られてしまって、しかも地方都市だとショッピングセンターにシネコンができることによって、駅前の映画館はつぶれる。ショッピングセンターができるとシャッター通りができるみたいに、単館の独立系の映画館とか小屋主の判断でかける映画を決められる映画館が激減しているわけです。シネカノンの李鳳宇(リ・ボンウ)さんのように例外的に独立系のチェーンを作ろうとしている人もいるけれど、それを除けば独立系の映画にとっては苦難の時期ですよね。

――映画を作りたいと思っている人は、今どのくらいいるんですかね。

和田 ひとつは映画という世界が大好きだという人たちが僕らの世代も含めて結構残っています。そういう人たちがピンク映画の現場に入っていった。ところがピンク映画もジリ貧状態でAVにとって代わられたという状況がある。僕らのように自主映画の名残のような人もいる。Vシネマはそこそこ作られているけれど、やっぱり本編を作りたいという人もたくさんいるわけです。
一方、CFやプロモーションビデオをやっている人のなかに映画で勝負したいと思っている人もいて、映像作家系の人もいれば、昔ながらの映画青年もいる。僕が映画を今回撮ってみて、テレビでもプロモーションビデオでもCFでも映画よりお金をかけられるかもしれないし、決して表現媒体として悪いわけじゃない、だけどやっぱり本編を撮りたい熱気がまだ残っているという人が多い理由がわかる気がすごくします。

>>>精神科医・和田秀樹さんインタビュー(下)
     モナコ映画祭で外国人がボロボロ泣いた      https://www.j-cast.com/2008/03/23018098.html

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