携帯電話の端末メーカーが事業を見直す動きが相次いでいる。三洋電機が携帯事業を京セラに売却するのに続き、三菱電機も携帯事業から撤退し、ソニーはNTTドコモ向けの携帯事業を縮小する。国内携帯事業の飽和化が引き金で、再編が広がる可能性もある。
世界全体の5%にメーカー10社以上がひしめき合う
ソニー・エリクソンは、ドコモ向け事業を縮小する方向だ
口火を切ったのは三洋。北米の携帯通信大手スプリント・ネクステルに端末を供給し、海外に強みがあった。ただ、2006年度以降、営業赤字が続いており、経営再建中の三洋は事業を維持できなかった。京セラに2008年4月に約500億円で売却する。
三菱電機は06年に海外の携帯事業から撤退し、ドコモ向けの生産・開発に特化して、立て直しを図ってきた。だが、07年度の販売台数は当初計画の320万台から210万台に下方修正を余儀なくされ、赤字が続いていた。今後は空調事業やデジタル家電など得意分野に経営資源を集中する。
ソニーはグループのソニー・エリクソンがドコモ向けの携帯端末事業を縮小する方向だ。ソニーは01年にスウェーデンのエリクソンと携帯端末事業を統合。世界シェアでは4位と、日系メーカーでは唯一上位に食い込んでいる。だが、国内販売台数は同社の世界販売の5%程度に過ぎなかった。
3社に共通するのは国内携帯市場の伸び悩み。日本の携帯市場は世界全体の5%程度に過ぎず、端末の普及もほぼ「1人1台」の飽和状態となっている。そこに端末メーカーが10社以上がひしめき合う「激戦区」だ。携帯世界首位のノキア(フィンランド)が年3億台も販売しているのとは対照的だ。