将来は高校の教師目指す?
代理人の安野氏は、「昨年10月にスポンサーが高橋の練習を見ていますが、『めちゃくちゃカッコいい』と評価していました。今年1月からの中国の合宿では、40キロを8回走るなど、ほかの選手の倍以上の練習をしています。だから、直前まで勝てると思っていました」と説明する。
高橋選手をシドニー五輪金メダルに導いた育ての親の小出義雄氏(68)も、記者団の質問に、「2月の半ばの40キロ走を見たけど、そりゃ見事な走りっぷりだった」とし、普段通りの力なら優勝できると思ったことを明かしていた。
とすると、レース後に何か異変が起きたことになる。高橋選手は、レース途中でトイレに駆け込んでいたが、中国での合宿生活で下痢になって2日寝込んだことと何か関係があるのではとの憶測も呼んだ。一方、小出氏は、「血糖値がガクっと落ちたのかな。ペースが遅過ぎたのかもしれない」と分析してみせた。ただ、「すごく難しいんだよ、2週間前からの調整ってのは」と指摘しており、本人でも見通せない事態が起こった可能性をほのめかした。
手術告白のことは、高橋選手自身も気にしていたようだ。「誰も知らない高橋尚子」の番組の中で、「お話しするつもりはなかったんですが、(敗因が)何かあったとしたら、手術しましたね、という感じでお伝えしただけ。笑い話にしようと思っていた」と明かした。
番組では、高橋選手は、「負けないでQちゃん」などとファンの手紙が読み上げられた後、「また元気づけられました」と堪え切れずに涙をこぼした。この涙について、代理人の安野氏は、「和田さんの発言とは関係ありません。手紙朗読に、レースは悔しい、でも走ってきたことがムダではなかった、と感じたんだと思います」と話した。和田さんの批判については、「事実の違う記事しか読んでいないので、そう思われても不思議ではない」と理解を示した。
安野氏は、高橋選手の引退は否定し、今後の予定については「近く発表します」とした。
恩師である大阪学院大の船本修三教授は、高橋選手についてこう語る。
「本人は悔いが残っているようですし、来年の世界陸上を目指すのではないでしょうか。もともと高校の教師をやりたいと言っていたので、その後は、指導者の道を歩むかもしれません。これからも走り続け、有森裕子さんのように、一般ランナーと走って夢や勇気を与えるような存在でいてほしい」