東京でも有名な博多ラーメンのチェーン店が、相次いでニューヨーク進出を果たす。2008年3月17日 (現地時間)にまず「一風堂」がオープンする。現地にもラーメン店は多いが、ほとんどが中国・韓国系の経営で、日本人からは「ラーメンの味じゃない」との声もあり、「日本のラーメンを広めたい」と意気込んでいる。
コンセプトは「ラーメンダイニング」
ニューヨークが「ラーメン激戦区」になる日は来るのか
博多ラーメンは全国的に人気だ。例えば朝日新聞の会員サービス「アスパラクラブ」が会員に「日本一のラーメン」を聞いたところ、回答数2万1485のうち実に9728人が「博多ラーメン」と答え、2位の「札幌ラーメン」(8612人)を大きく引き離した。首都圏で展開されている博多ラーメンチェーンとしては「一蘭」と「一風堂」が有名だが、この2チェーンが相次いでニューヨークに出店するのだ。
国内で「一風堂」34店舗を展開している「力の源カンパニー」は2008年3月17日夕方(現地時間)、マンハッタン東南部の「イースト・ビレッジ」に店舗をオープンする。店舗面積は100坪で、座席数は82。国内の一般的なラーメン店と比べてもかなり大型で、初年度の売り上げは3億円を目指す。同社では、
「かなり大規模に展開するつもりです」
と強気だ。
店のスタイルは、日本と違った「ダイニングスタイル」になるといい、同社では
「日本のように『ラーメンだけ食べて終わり』というのではなく、米国人のライフスタイルにあわせて、『ラーメンダイニング』となっています」
と話す。具体的には、ラーメン以外にも1品料理30種類を用意し、日本酒メニューを充実させる。ラーメンについても、「米国人には麺をすする習慣がない」とのことで、麺を短くするなどの工夫をする。味についても、
「出来るだけ国内の味に近づけるように努力していますが、食材が現地調達なのと、現地のお客様の味覚も違いますし…」
と、「とんこつラーメン」という基本的な点は守りつつも、国内で売られているラーメンとは、若干違った味になるようだ。試食した人からは「若干クリーミーな味」との声もあがっているという。
ニューヨークのラーメン店は中国や韓国経営が大半
国内では競合が多い「激戦業界」として知られるラーメン業界だが、ニューヨークでの勝算はどうなのか。
「ニューヨークでラーメン店は40~50店舗あるのですが、日本人経営のものは、ほとんどなく、チャイニーズやコリアンが経営するものが大半です。ニューヨークに出張してきた日本人からは『これはラーメンじゃない』という声もあがっているようです。リーディングカンパニーとして『日本のラーメン』を広めたいです。かなり『ガンバリモード』です」
と、鼻息が荒い様子だった。
一方の「一蘭」も、ニューヨーク進出を目指す。07年6月には現地子会社を設立し、現地調査を進めてきた。ブルックリン地区に店舗物件も確保し、08年夏のオープンを目指していたが、「さらに現地調査を行いたい」とのことで、オープン時期は「08年中」に延期されている。ニューヨーク向けの「特別メニュー」も、開発が進んでいるという。ニューヨークが「日本の正統派ラーメン」の激戦区になる日も遠くないかも知れない。