未来的すぎて失敗した新手法 「WiLL」をトヨタが復活

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

WiLLで展開した新型ローン・クレジットも復活

   トヨタの試算によると、ペイドを使った場合、毎月200kmを走行する人のケースでは、毎月700kmを走行する人と比べ、年間の適用保険料は15%程度安くなるという。特にG-BOOKを使った月次のリアルタイム計算で、こうしたメリットが大きくなる可能性もあるとされる。

   WiLLプロジェクト展開当時は、G-BOOKなどテレマティクスサービスが普及しておらず、また、リアルタイムで正確な走行距離を把握することが困難だったことに加え、自動車保険料の支払いが年1回の一括払いが主流の日本では、認知度も利用もイマイチどころか、惨憺たる状況だった。しかし、G-BOOKの技術が急速に進化した今、利用環境も整ったこともあり、再び、メリットを見い出すユーザーを対象に商品として販売を再開することとした。他方では、G-BOOKの普及と利用を促す狙いもある。

   もう1つ、トヨタが検討しているのが、走行距離に応じて月次の支払額が上下するタイプの新型ローン/クレジットの復活だ。これも、WiLLプロジェクトの中で展開していたもの。しかし、プロジェクト当時は上記の自動車保険商品と同様の理由で正確な走行距離の把握が難しく、また、中古車としての再販売価格の見込み違いといった理由もあり、「トヨタは大損したようだ」(関係者)という評価になっている。

   しかし、これまた同じ理由で走行距離の正確な把握が可能になった。また、今、トヨタを始めとする自動車メーカー各社が新車販売活性化の起爆剤として展開に力を入れている「残価設定型ローン/クレジット」に関連したノウハウの蓄積により、3年後や5年後における中古車としての残存価格の正確な把握が可能になったため、この新タイプのローン/クレジットを展開する土壌も整いつつある。

   走行距離に応じて料金を支払う。何やらレンタカーのような商品にも見えるが、クルマに対する価値観やカーライフそのものが変化していく過程の中で、未来的に過ぎて失敗した商品が今、復活を遂げようとしている。

1 2
姉妹サイト