内情を知る者は仁司元代表にかなり同情的だ
新銀行東京の経営責任について、仁司元代表を追及する声が日に日に高まっているが、新銀行の内情を知る者は仁司元代表にかなり同情的だ。そもそも、経営内容のおぼつかない中小企業に無担保で融資するというビジネス・スキームが無茶だったからだ。新銀行が設立された05年には中小企業向け融資も回復に向かっていたこともある。前出の信金幹部も、「ビジネスとして成り立たないことは設立前から指摘していたし、(代表の)なり手がなかなかいなかったところで決まった人なのに。あれはちょっとひどい」と話す。
ただ、経営計画(マスタープラン)では年間150億円の経費で運営するには融資残高が6000億円(開業後3年目の目標値)ないと黒字にならないため、融資拡大を焦ったことは否めない。
「トヨタ式経営」も銀行経営には通じず、仁司元代表は07年6月に赤字経営の責任をとって退任。代わってトップに就いたのは、りそな銀行出身の森田徹氏だが、わずか5か月で健康上の理由から退任。それも「仁司時代」の尻拭いがあまりにひどかったためなどと伝えられている。
「危機的となった焦げ付きの事実を一部隠蔽し、防止策も楽観的」
「経営実態を取締役会に報告せず、デフォルトの急増を把握しながら融資拡大路線を続けた」
「(仁司元代表による)独善的な業務運営」
と、津島代表の言葉は厳しい。しかし、その津島代表も設立当初の経営計画に携わったひとりだ。