山梨県富士河口湖町の青木ケ原樹海での自殺を思いとどまらせるために、「借金の解決は、必ずできます」と書いた看板を設置する運動が起こっている。「サラ金」や「ヤミ金融」への借金を苦にした人が自殺するのをストップさせようというもので、看板の設置で29人の命がこれまでに救われた、という。
「借金の解決は、必ず出来ます!私も助かりました」
内閣府がまとめた2007年版「自殺対策白書」によると、06年の日本全国の自殺者数は2万9921人で、前年に比べ632人(2.1%)減少したものの、9年連続して3万人前後の状態が続いている。このうち8000人近くが経済苦や生活苦を理由に自殺している。住所地に占める自殺発見の比率は山梨県が全国で突出しており、青木ケ原樹海周辺で死を選ぶ人が多いせいだと思われる。
富士河口湖町でも「数的なものは把握していないが、保護された人の話や警察に聞く限りでも未だに自殺する人が多いというのはある。防犯パトロールの際にもそういう方には注意するようにしている」とのことだ。
そうしたなか、サラ金やヤミ金融の被害者を救済している共催団体・全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会は2007年1月から、青木ケ原樹海での自殺を思いとどまらせるための看板を設置する取り組みをしている。
看板には、
「借金の解決は、必ず出来ます!私も助かりました、まずは相談しましょう!(電話03‐3255‐2400)」
と書かれており、同協議会によれば、実際に青木ケ原樹海でこの看板を見た29人の命が救われた。
ある東京都の女性は、青木ケ原樹海でこの看板を見て、07年3月に同協議会に「これから死のうと思う、紐を木にかけて首を吊ろうとしている」と電話。サラ金5社から約250万円を借り、10年以上返済に追われたことを苦にしているとのことだった。
電話を受けた相談員は「完全に過払いになっている、払わなくてもよくなる、払いすぎたお金は取り戻すことが出来る、死んではいけない」と必死に呼びかけ、司法書士と相談して命が救われたという。