酒を飲まない。車を買わない。休日は「家にいる」。一番の関心事は貯金――。これが20代の若者の特徴だという調査結果が公表された。そこから垣間見えるのは保守的でつつましく、見方によっては「かわいそうな世代」の姿でもある。
約8割が毎月貯金をしている
酒を飲まない若者が増えている(写真はイメージ)
インターネットリサーチのマクロミルは、2008年2月29日に「若者の生活意識調査 2008」(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の20代男女312人にアンケート)を発表した。
この中で、貯金について尋ねたところ、約8割の人が毎月貯金をしていた。目的は「いざという時のため」が65%。「旅行資金」が28%、「病気や事故の備え」が27%、「老後の蓄え」が23%という順になった。「積極的にお金をかけたいものは」という質問に、なぜか回答は「貯金」が44%でトップ。休日の過ごし方は、「家にいる」が38%で、お酒を「ほとんど飲まない(25%)」「まったく飲まない(10%)」の合計が35%になっている。
日本経済新聞が07年8月22,日付け紙面に掲載した調査でも、似たような結果が出ている。「自由に使えるお金の使い道」(複数回答)については、「貯蓄」を挙げた人が36.0%、00年より8・2ポイント高くなった。飲み代は29.6%が「お金がもったいない」。これは30代より10ポイント以上高い。乗用車を「持っている」は13.0%だが、00年より10ポイント以上低下、家電や海外ブランド品など18品目も保有率が低下している。
つまり、飲み代や買い物を節約し、貯金に回しているようなのだ。
ほんとうだろうか。J-CASTニュースでは都内の20代にそのあたりの事情を聞いてみた。
「断れない大きな飲み会には出ますが2、3人の集まりには行きません。飲んだら無くなってしまう酒なんかに、カネを使いたくないから。余ったら貯金。貯金で(液晶大画面テレビなどの)形が残るものを買ったり、将来に備えます」(29歳の男性サラリーマン)
「飲み会を開いても来ない学生が多い。部屋に居るのが好きで、アパートに無いものといえば、酒、エロ本、エロDVD、冷蔵庫の中身です」(23歳の男子大学生)
「結局、日本はもっとダメになると思っているんです。成功する人は1割にも満たないはずから、慎ましく生きるしかないんです」(22歳の男子大学生)
「貯金しているのは、自己投資をしていないのと同じ」
「20代からの自分を高める勉強法」(ソフトバンククリエイティブ刊)などの著書がある、ジャーナリストで経営コンサルタントの中島孝志さんは、現在の20代を「かわいそうな世代」と評し、こう話す。
「20代は将来に不安の要素が多いため、ちょっと先の未来に踏み出すことができない。貯金は地に足がついた人生設計、ともいえるが、投資のようなリターンがないから、若い世代にとっては、停滞、を意味しているのではないか」
20代の若者が保守的になっているのは、同世代にたくさんニートがいてその現実を知っていること。さらに、株の乱高下、年金、サブプライムなど経済面の問題が山積し未来を描ききれないことや、両親が不況の時代を生き、今でも家のローンや、教育費を抱え「カネがない、カネがない」とシャワーのように言葉を浴びせられてきたからだという。
「20代がお金を使わずに貯金しているのは、自己投資をしていないのと同じだから、これからの人生に向かって投資しなさい、と言いたい。投資は成功も失敗もあるけれども、どちらがおもしろい人生を送れるか、ということだと思うんです」