投資信託協会がまとめた2007年の投信概況によると、一般的に販売されている公募投信のうち、海外の株式を主に組み入れた国際株式型投信の純資産残高が前年同期比約8割増の9兆8259億円で、過去最高を更新した。逆に日本株を用いた国内株式型投信は大幅減で、日本株から海外株式に資金が流れた形 だ。日本株離れが投信の世界でも鮮明化してきた。
中国やインドなどの新興国株人気が高まるのに反比例
日本株離れが進んでいる?(写真はイメージ)
国際株式型投信の資金流入額は、06年(1兆4260億円)の約2.8倍に当たる3兆9409億円に上り、流入額としては過去最高を記録した。米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題を機とした2007年8月以降の世界的な株安の影響もありながら、運用益も4051億円と堅調だった。純資産残高は前年同期(5兆4798億円)を4兆円以上も上回った。
これに対し、国内株式型投信は低調だった。資金流出額が流入額を上回り、流出額は1兆40億円(2006年は1兆385億円の流入)になったうえ、1兆746億円もの運用損を出した。純資産残高は同25.3%減の6兆1270億円で、前年(8兆2057億円)より2兆円も減少した。
「かつては投信のほとんどが日本株型だった。新しい投信を設定するという話が広まると、投信に組み入れられそうな企業の株がどんどん買われ、日経平均株価の上昇にもつながったほどだ」(大手証券幹部)という。しかし、今や「中国やインドなどの新興国株人気が高まるのに反比例して、日本株人気は下落し続けている」(市場関係者)のが現状だ。
投資家のジャパン・パッシングがじわじわ広がる
実際、最近の日本株の株価低迷は世界の株価に比べても著しい。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がまとめた2007年の世界52カ国・地域の主要株価の騰落率調査によると、日本は6.6%減で下から2番目の51位だった。最下位はアイルランド(19.6%減)だった。これに対 し、インドは3位(79.0%増)、ブラジルは4位(74.6%増)、中国は6位(66.9%増)と新興国が軒並み上位に位置づけている。
一方、公募投信全体に占める外貨建ての割合は2003年には22%、04年には30%と、数年前までは2~3割で推移していたが、この1~2年で急増。2007年は実に46%と半分に近づく高水準になっている。投資家が日本市場を通り過ぎる「ジャパン・パッシング(素通り)」がじわじわ広がっているようにも見える。