コンサルティング会社やIT企業の面接試験に必要?
総じて言うと、ビジネス雑誌や本では、何らかの方法に則り、徹底的に考えた人が成功していると指摘しているようだ。
こうした話題をブログで取り上げている経済学者の池田信夫さんは、出版界にあおられた地頭力ブームを批判する。
「ハウツー本は、すべて結果論に過ぎません。誰でもビジネスに成功できるような秘訣は存在しないのです。例えば、アメリカのアップル社を経営するスティーブ・ジョブズのように、成功した人は、それにふさわしい独自のノウハウがあります。まぐれ当たりもあり、成功者に共通の部分は、世間の人が思うほど多くはありません。成功した人がやったことはいいように見えて、あてになりません。むしろ、失敗した人の方が参考になります」
ただ、地頭力そのものについては、肯定的にみている。
「例えば、どうすれば生き残れるかを考える生存本能の強い政治家は、金や人を使う勘が鋭い。選挙を戦う地頭力が必要で、バカでは務まりません。その力は、本を読めばいいのではなく、競争圧力の中で鍛えられるものなのです」
この点について言えば、ビジネス雑誌や本と同意見のようだ。
地頭力ブームがきっかけで、外資系のコンサルティング会社やIT企業の面接試験が注目を集めている。新幹線のコーヒー販売のような地頭力が試されるケースが多いからだ。グーグルでも「スクールバスにゴルフボールは何個入るか?」などの設問が出されている、とネットで話題になっている。
池田さんは、こう語る。
「面接での設問は、本で学べない地頭の力を試しているのでしょう。日本のサラリーマンがハウツー本にすがりたい気持ちは分かりますが、自分の頭で考えることに欠けているように思えます。世間がどう言おうと、自分の納得することをする。だから、スティーブ・ジョブズは地頭がいいんです」