「タバコ一箱の値段を1000円にすべきだ」と笹川陽平日本財団会長が提案している。時を同じくして、日本学術会議がたばこの増税と値上げを内容とした要望書を国に出した。1箱1000円時代はやってくるのか。
消費量が減っても税収増になる
「1箱1000円」の時代は来るのか
産経新聞の2008年3月4日付けコラム「正論」に、笹川日本財団会長の主張が掲載されている。それによると、日本で320円で売られているタバコは、ロンドンでは5ポンド(1045円)。各国と比べても日本のタバコの値段は安く、
「日本も1箱1000円とするよう提案する。現在の3倍以上になるが、たばこ増税は喫煙規制が進む世界の大勢であり、厳しい財政赤字の中、実現すれば大きな財源になる。国会には超党派の議員立法として正面から取り組んでいただくようお願いしたい」
と書いている。1箱1000円になれば、消費量が3分の1に落ち込んだ場合も3兆円を超す税収増が見込める計算で、未成年者の喫煙も抑制できるため、消費税より先に議論すべきテーマだとしている。
日本学術会議も同日、たばこの増税・値上げをするべきだとだという要望書を国に提出。ホームページにも「脱たばこ社会の実現に向けて」と題しその内容を掲載した。日本学術会議の試算によると、税金を現在の一箱あたり約189円に300円加えた場合、喫煙者は300万人減の3310万人になり、たばこ消費量は800万本減の1910億本。税収は2.05兆円増え4.29兆円になるのだという。この要望書作成に携わった大野竜三愛知淑徳大学医療福祉学部教授はJ-CASTニュースの取材に対し、
「タバコの値段が上がれば喫煙者が減少するが、税収が上がるというのは世界中で実証されている。ただし、私達は税収に重きを置いているのではなく、あくまでたばこが体に悪いことを知ってほしいというのが狙い。是非『脱たばこ社会』を実現させたい」
と話している。