新入社員ボーナスが1000万円超える魅力には勝てぬ?
そうなると、必然的に、これらの東大生が目指す先は「官庁」ではなく「民間」ということになるが、ここでも異変が起きている。いわゆる「大手銀行」への就職が減り、外資系への就職が増えているのだ。
前出の東京大学新聞の調べによると、87年卒では、現・みずほフィナンシャルグループに就職したのは39人だったのに対し、97年卒は24人で07年には13人だ。現・三菱東京UFJ銀行も、それぞれ33人、21人、6人と推移している。
その一方で、ゴールドマンなどの外資系証券に進んだのは87年は4人だったのに対し、97年には3人、07年には8人と、ここ10年で急増している。マッキンゼーなどの外資系コンサルも、それぞれ2人、6人、7人といった様子で増えている。
この背景には、やはり給与水準にあるらしい。ゴールドマン・サックス社が06年12月に明らかにしたところによると、入社1年に満たない新入社員に対して支給したボーナスの額は10万ドル(1030万円)以上。キャリア官僚の場合、45歳の本省課長の場合で年収1200万円という水準なので、「トップエリート」が外資になびくのも頷ける話だ。
もっとも、破格の報酬を得られるだけあって、外資は「相当な狭き門」なのも事実。
就職情報サイト「みんなの就活日記」によると、東大法学部の学生が多く志望する企業のランキングは、1. 三菱UFJフィナンシャルグループ 2. 三菱商事 3. みずほフィナンシャルグループ 4. 日本銀行 5. 三井住友銀行、と言った具合で、官庁が含まれてない点を除けば、これまでと、あまり変わりばえがしない印象だ。やはり「霞ヶ関から外資へ」という現象が当てはまるのは、一部の「超優秀な学生」で、普通の東大法学部生には、やはり「比較的門戸の広い」大手銀行などが人気のようだ。