専門機関は「急増説」否定
もっとも、専門機関は「急増説」を否定している。「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」で指定された財団法人の「日本データ通信協会『迷惑メール相談センター』」によると、
「急にメールの数が増えたり減ったりする『波』はありますが、ここに来て急増している、という印象はないですね」
と話す。さらに、
「ケータイ向けの迷惑メールは、文字数の制限などを考慮して、PC向けのものとは別に送信されているのでは」
とのことで、いわば「ケータイ向けにカスタマイズされている」ということのようだ。送られる内容については、PC向け・ケータイ向けにかかわらず、「出会い系サイトに誘導する広告メール」が圧倒的に多いのだという。
ただ、英語の迷惑メールについては調べていないといい、この急増説の真偽ははっきりしないままだ。
電話会社側もまったく手をこまねいている訳ではなく、
「受信拒否する対象のドメインを設定できる」
「(出会い系)などの特定URLが記載されているメールは受信拒否する」
などの設定が可能になっている。ところが、設定の煩雑さが、ユーザーが対策を取る上でのハードルになっているのも事実だ。
これを受けて、NTTドコモでは、07年11月から、どの程度厳しく迷惑メールの受信を拒否するかを3段階で設定できる「かんたんメール設定」サービスを始めており、ソフトバンクモバイルでも、08年2月27日、3月27日から同様のサービスを開始することを表明したばかりだ。ソフトバンクモバイル広報部は、
「今回のサービスで、迷惑メール対策機能の利用率向上につながれば」
と話している。
もっとも、今回の措置で、迷惑メールの数が劇的に減るかどうかは未知数だ。前出の「迷惑メール相談センター」では、迷惑メールがなくならない理由について
「迷惑メールを受信した人が、出会い系サイトに登録料を払ったり、振り込み詐欺まがいの被害に遭うことがあります。これらのお金は送信者側に渡り、送信者側からすれば『ビジネスが成立している』訳です。これがなくならないと、迷惑メールは減っていかないのでは」
と分析している。