農薬は袋に浸透するという独自の実験結果を示す
中国側は、いくつかの理由を挙げて、日本での混入を示唆した。まず、天洋食品の従業員55人を調べたが、疑わしい人物がいなかったということを挙げた。さらに、日本側の捜査に対して、真っ向からぶつけてきたのがギョーザの袋についてだ。
新聞各紙によると、日本では、これまでの日中合同の情報交換会議で、袋の外側から内側へは農薬は浸透しないという実験結果を中国側に渡していた。袋は密封されていたことから、日本での混入の可能性は極めて低いことを示すためだ。ところが、中国側は28日の会見で、農薬は袋に浸透するという独自の実験結果を示したのだ。それによると、実験は、ギョーザの冷蔵温度となるマイナス18度の条件下で行われ、1~60%の濃度の異なるメタミドホスに袋を浸したところ、いずれも10時間以内に袋の内側に浸透したという。
これに対して、日本のメディアからは、実験結果の数値が示されていない、浸透しても高濃度になるのか、などの指摘が出された。加えて、疑問なのが、そもそも農薬を通すような袋が食品包装用に使われるのかどうか、ということだ。
厚生労働省の基準審査課によると、袋から溶ける物質や圧力・強度については基準があるものの、農薬や洗剤などの液体が袋に浸透するかどうかについての基準はないという。とはいえ、同課の担当者は、
「液体の浸透についてはまったく想定外ですが、農薬を通すような袋では困るというのは、その通りだと思います」
と指摘した。