中国製毒ギョーザ事件は、中国当局が日本での混入を示唆したことで、中国のネットで「日本人の仕業」と非難の大合唱が起きている。取材で違法行為をした共同通信記者まで、犯人に祭り上げられる始末だ。しかし、中国側が根拠とした「農薬通す袋」の主張に、関係者から疑問の声が上がっている。
共同通信記者を犯人に祭り上げ
日本人非難があふれる「勝訊ポータルサイト」の掲示板
これまで協力的に見えた日中捜査当局の間に、突然亀裂が入った。中国当局が2008年2月28日、会見して農薬のメタミドホスが「中国内で混入された可能性は極めて低い」との一方的な見解を発表したからだ。そして、日本から現場や証拠品を見せるのを拒否されたとして、遺憾の意も示した。
これに対し、警察庁の吉村博人長官が、会見で直ちに「看過できない。役立つ資料はすべて渡しており、遺憾と言われるのは理解できない」と不快感を表明。これによって、捜査の長期化、場合によっては頓挫さえ予想されるほどの事態になった。
さらに、まるで発表に合わせたかのように、中国側は、共同通信記者の一時拘束を明らかにした。検問で、この記者が08年2月15日、所持、運搬などが禁じられているメタミドホスの瓶を車の後部座席に置いていたのが見つかったというのだ。共同通信によると、販売禁止のメタミドホスが入手可能かどうかを検証するために、製造元「天洋食品」の工場がある河北省内で購入したという。
ところが、日本での混入を示唆した発表と同時になり、中国の一部ネットニュースは、事件の犯人が捕まったかのように報じた。例えば、大手ポータルサイトの「捜狐ネット」では、「毒が入れられたのは日本国内 日本人記者が取り調べを受ける」との見出しの記事が流された。その中でも、共同の記者が農薬を日本へ持ち出そうとしたかのような誤解を与える表現があった。
ネットの掲示板には、日本非難があふれた。「勝訊ポータルサイト」の掲示板には、「日本のスパイは、悪いことをして、中国人のせいにする」「日本は、責任を取って、きちんと中国人に謝りなさい」「9.18事変を思い出しました」などと過激な書き込みが見られた。